09.ストライカーとしての選択 ページ11
「もう1度言い改めよう。サッカーとはお前らストライカーの為にあるものだ、お前いがい外の人間はピッチ上の脇役だと思え。常識を捨てろ、ピッチ上ではお前が主役だ。
己のゴールを何よりの喜びとし、その瞬間の為だけに生きろ……それが、『ストライカー』だろ?」
その言葉に私がハッとしていると、隣に居た筈の潔君が勢い良く走り出した。
『あ、潔君……!』
私が呼び止める間も無く、潔君はそのまま絵心さんの後ろにある扉へと向かって行く。
その姿に少しだけ呆然としていると、周りの人達も感化された様に一斉に駆け出した。
最初は戸惑い気味だった吉良君も釣られる様に走って行き、私も続こうかと思ったけど、足を止めて少し俯く。
潔君は決めたのだろう、世界一のストライカーであると証明する為に戦うと。
私はどうする?ここで帰る?それとも、進む?
私は1度、サッカーを諦めた人間だ。
敵わない人間が居るのだと知って、逃げる様に辞めた。
今だってずっと、目を背け続けている。
だけど私はサッカーが好きだ、まだ諦めたくない、まだやっていたい。
まだ、終わりたくない。
――――だって私は、ストライカーなんだから。
『っ!』
決意を固める様に手を握り締めた私は、そのまま待ち受ける扉へと走り出した。
例えこの先、どんな未来が待っていようと後悔はしない。
これはストライカーとして、私が選んだ選択肢なのだから。
・
「……300名、全員参加っと」
絵心はA達が過ぎ去って行ったエントランスホールで、誰も居なくなった室内を一瞥する。
こうなる事は分かっていた。
まだ学生に過ぎない高校生達だが、ストライカーとしてのプライドはしっかりと持ち合わせているだろうから。
「まさか、女の子まで招集しているとは思いませんでした」
絵心の後ろから現れた女性は『帝襟アンリ』、日本フットボール連合の新入社員だ。
そして、ブルーロックでは絵心のサポートも担っている。
彼女も又、本気で日本をワールドカップ優勝へ導こうと考えている1人だった。
「……女の子だからって油断しない方が良いよ。俺の1番の本命は、あの子だと言っても良い」
「!!あの子が……?」
「あの子のプレーは1度しか見た事が無い。だが、あれは間違い無く日本で収まる器じゃ無いよ」
『彼女は俺の特別だ』。
薄っすらとだが、アンリは絵心の呟きを聞き逃さなかった。
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Banri - アイズさん» コメントありがとうございます!少しゆっくりになるかもしれませんが、更新頑張ります!これからもよろしくお願いします! (1月26日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 更新待ってます! (1月26日 7時) (レス) id: f7fb020bf2 (このIDを非表示/違反報告)
Banri - コメントありがとうございます!そんな風に言って頂けて、とても嬉しいです!更新頑張りますね、これからもよろしくお願いします! (1月21日 11時) (レス) id: 4def71807c (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 一気読みするほど、とても良かったです!続きを楽しみに待っています!応援しています! (1月21日 10時) (レス) id: 96e9700f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Banri | 作成日時:2024年1月16日 18時