8、胸の奥の想い ページ8
ふと横を見て、ドクン、と心臓が音を立てた。
視線の先に吉村がいた。
相変わらず友人達に囲まれて、爽やかな笑顔を見せている。
吉村と同じクラスの女の子たちが、彼の周りで笑ってる。
吉村の好きな人って、あの中にいるのかな…。
そう思ったら、胸がぎゅっと苦しくなって
彼が見えない場所へと移動した。
正直……吉村の好きな子が誰なのか知りたい。
だけど、それ以上に知るのが怖かった。
だってもしもその子がすごく可愛い子だったら
めちゃくちゃいい子だったりしたら
私はきっと立ち直れない。
「なぁにしてんの!」
急に肩に回された腕に首を回した。
「茜」
「急にいなくなんないでよね。探すの大変なんだから」
いつもと同じ笑顔で私の頬をぷにっとつねる。
「ごめん。戻ろ」
「ねぇ、A」
少し真剣な顔をした茜が、回した腕を解き、私の両肩に手を置いた。
「修学旅行、楽しもう!
そうしないと、きっと後悔するから!」
そう言うと「行くよ!」と走り出し、前を歩いていたクラスメイトたちと一緒に写真を撮り始めた。
……そうだよね。
中学の修学旅行はもう二度とないんだから。
落ち込んでるだけじゃ、後できっと後悔する。
「待って茜!私も入る!!」
茜の言葉に少し元気をもらった私は、そうしてクラスの友達と沢山写真を撮った。
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月1日 12時