38、私の部屋に ページ38
……ダメだ
全然眠れなかった…。
鏡の前、浮腫んだ顔にビックリしながら、冷水をバシャバシャ顔に浴びた。
昨日は大変な1日になった。
何にも考えず、勢いで川島を誘ってしまったおかげで、結局私の家に来てもらうことになって。
そのせいで、合格祝いに外食しようと言ってくれた家族の誘いも断って、家中の大掃除をする羽目になったのだ。
いつもやらない玄関掃除まで必死にやる私を見て、「誰か来るの!?」と家族が興味津々な顔を覗かせていたけど。
「友達が来るの!」だけで乗り切った私。
幸い今日は、家族みんな仕事と学校で家には誰もいない。
13時。
約束の時間にチャイムが鳴った。
……来た!!
ドキドキうるさい胸を押さえながら、大きくひとつ深呼吸をして。
ささっと手で髪の毛を整えて、玄関を開けた。
「あ…、こん、にちは」
そこに、私服姿の川島が立っていた。
…ヤバイ。
初めて見る川島のジーンズ姿。フードのついた白い大きめのパーカー。
超カッコいいんですけど…っ!!
川島が私を見て照れたように下を向いて笑った。
あぁ……可愛い…っ。
「あー、部屋2階なの。こっち」
「うん…お邪魔します」
遠慮がちに私について階段を上った川島が、私の部屋に入った途端立ち止まった。
「あ……私、飲み物取ってくるから、好きなところに座ってて?」
何をどうしたらいいのかわからなくて、とりあえず川島を部屋に残して階段を下りた。
これは夢じゃないよね?現実だよね?
グラスにコーラを注ぐ手が、微妙に震える。
だって、信じられない。
あの川島が、今、私の部屋にいるなんて。
21人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月1日 12時