4、初めての告白 ページ4
放課後の体育館横の裏庭に、既に吉村は立っていた。
古風に靴箱に手紙を入れて呼び出した私を、待ってくれているのだ。
｢よ、よしっ!!｣
一気に足を進めた。
歩く速度を緩めるのも、立ち止まるのもダメだと思った。
そんなことしたら、きっと逃げ出したくなると思ったから。
私に気付いた彼が、「あ」と小さく呟いてから、にこっと笑って手を上げた。
「栗原。ここ」
……なんだか随分気さくだな。
そっか。
こんなシチュエーションには慣れっこなんだ。
そう思ったら足の歩幅が小さくなった。
「なに、話って？」
目の前、数メートルの距離。
絶対わかってるくせに、お決まりのようなセリフを投げかけて来る。
「えっと…その…っ、ごめんね急に呼び出したりして…」
そして私も。
気付かれてるって思うのに、恥ずかしくて顔を上げられない。
だけど。
覚悟は十分出来てるから。
吉村が｢んーん、何もだよ」と口を開いたと同時に
ぎゅっと拳を握って、胸の奥に秘めてきた気持ちを一気に吐き出した。
「わたし、吉村が好きなの！ ずーっと前から、大好きなの！」
……言った。
ついに言った……！！
バクバクと踊るように打ち続ける心臓。
恐る恐る視線を上げると、吉村とパチンと目が合った。
う、わぁ……っ!!
静まれ心臓っ!!
そう思った次の瞬間。
「ありがとう」
そう言って、吉村が微笑んだ。
「……!!｣
ありがとうって言った!!
ってことは…
「でも、ごめん」
「え？｣
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作者名：ユチコ | 作成日時：2018年7月1日 12時
