*:..。o○☆アイノカタチ3*:..。o○☆○o

103、作戦に嵌る ページ5

それでも一応はざっくりとした私の話を「…ふぅん」と聞いてくれたなっちが

「あ。いいこと考えた」

突然どこかに電話をかけ始めた。


まぁ。なっちにとってはどうでもいい話だっただろうなって。
冷めてしまった紅茶をゴクゴク飲み干したら。


携帯でコソコソ小さな声で話していたなっちが

「ちょっと待ってね」と、耳から離した携帯電話を私の前に差し出した。



「はい。実乃里が代わってって」

「実乃里？」


同じ英文科。なっちと仲良くなってほどなくしてから仲良くなった女の子。

なんだろう？と携帯を耳に当てると


『A！』

実乃里のキンキンした声が聞こえて来た。


『ちょっと！なっちが今日の合コン、Aが一緒じゃないと行かないとか言い出したんだけど!!』


……は？合コン!?


『今日の合コン、なっちを連れて行くって条件でイケメン集めてもらったのに!!
いい!? Aが責任持ってなっち連れて来てよ!! わかった!?』

「え、ちょっと待ってよ！私関係な、」


プー、プー、プー

ウソでしょう!? 切れたし!!



目の前には、何食わぬ顔でマニキュアの出来を見てるなっち。


なっち目当てに近くの大学から毎週のように合コンのお誘いがあるのは知ってたけど。

私、関係なくない？




「私、行かないよ」

「うん。じゃああたしも行かない」

「……ねぇ。さっきの私の話聞いてたよね？」

「うん、聞いてたよ。男を忘れるには男よね」

「……本当に行かないから」

「うん。だからあたしも行かない。でも実乃里怒るだろうね」


ちょっと待ってよ。
実乃里怒ったら怖いの知ってるでしょう!?


「仕方ないね、A。行くしかないね？」


ニヤリと笑いながらオレンジジュースを吸い上げるなっち。


信じられない。
やられた。

なっちの単純な作戦にまんまとはまり、私は人生初の『合コン』に参加する事になった。

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