*:..。o○☆アイノカタチ3*:..。o○☆○o

129、何も変わらない ページ31

思いがけない涼の反応に私の方がびっくりした。


『なんで!? …ってかお前らうるさい！Aちょっと待ってて！』

ガヤガヤとうるさかった電話の向こうが静かになり


『もしもし？ごめん』

涼の声が返って来た。



「涼、今どこ？」

『すすきの！ってかなんで？どうしてそうなった!? どんな話した!? ふたりで行ったのか!?』


私のことを心配してくれてるのか、いくつもの質問を投げかけて来る。


「成り行きでね。川島の車で海を見てきたよ｣

『車!? 』

「そう。なんでそうなったのかは私もよくわからないんだけど。
でも良かったよ。ちゃんと話せて良かった」


気持ちのまま、思ってることを涼に伝えたら。

少し黙っていた涼が


『なら良かったね』と、優しい声で返して来た。



『でも今更なんだっつーんだろうな』

「ホント。今更だよね｣



涼にも言われた、今更。


そうだよね。誰が見たって、誰が聞いたって今更だ。

きっと川島はただ単に昔話がしたかっただけ。
同級生として話したかっただけ。



それだけじゃ嫌だと思ってるのは
私だけ。



ダメだな。
現実に戻らなきゃ。

あの苦しかった日に
過去に戻ってはいけない。




『A、いつこっち戻ってくる？』

「明日。明日帰るよ札幌に」




このまま帰ろう。

大丈夫。何かが変わったわけじゃない。
何かが始まったわけじゃない。

ただ同級生にあって海を見て連絡先を交換しただけ。

いつ連絡が来るかもわからない番号を

ただ交換しただけ。

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