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100、やっとわかった ページ2

暑い。

暑い。


もわっとした空気が立ち込めるバスを降り、玄関を開け階段を上った。


そして自分の部屋に着いた途端、カクン、と力が抜けて座り込んだ。



……彼女だ。

今度は間違いなんかじゃない。

川島に彼女が出来たんだ。



彼女を見付けた時の川島の笑顔を思い出す。
彼女と手を繋いだ時の優しい瞳を思い出す。



「…うぅ…っ、」

ぎゅう…っ苦しくなる胸。
勝手に流れる涙が呼吸を乱し、大きな黒い渦が押し寄せて来た。




川島は…あの子のことが好きになったの?

あの子と…キスしたの?

あの子を抱いたの…?



考えれば考えるほど色濃くなる想像の中。

小刻みに震える自分の身体をぎゅうっと抱きしめながら、誰もいない家の中で小さな子どもの様に声を上げて泣いた。





薄暗くなった部屋の中で、壁に凭れ掛かったままぼんやりと考えた。


…今わかった。

あの夜。
公園で川島に言われた言葉の意味が

今ならよくわかる。


川島も同じだったんだね。

私と涼を見た時の川島も

今の私と同じ気持ちだったんだね。




ボロボロと頬を伝う涙は止まらない。



あの夜。
確かに川島の気持ちはここにあった。

それを伝えてくれた川島を、身勝手に拒んだのはこの私だ。


…掴めば良かった。

自分のことなんて棚に上げて。
誰かを傷付けたという罪悪感なんて投げ捨てて。

差し伸べてくれた川島の手に、しがみ付けば良かった。




後悔しかなかった。

だけどもう何もかも遅すぎた。


彼の隣で屈託なく笑える彼女が
死ぬほど羨ましかった。







それからの私は、私の持つすべてを受験勉強へと充てた。


少しでも気を抜くと一気に崩れ落ちてしまいそうな精神状態の中、私は短大に合格した。


風の噂で川島は地元で就職が決まったと聞いた。



正直ホッとした。

川島の住む街から離れれば、この苦しさから解放されるんじゃないかって。
もう二度と会うことはないだろうって。

 

そう思っていた。

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - なしなぎさ( =^ω^)さん» コメント&ニヤニヤありがとうございます笑 大好きと言ってもらえて嬉しいです( ;∀;)更新頑張ります☆これからもよろしくお願いします^^ (2018年8月6日 19時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
なしなぎさ( =^ω^)(プロフ) - これ見ていつもにやにやしてます…←変態wこのお話大好きです!更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年8月5日 17時) (レス) id: 807497c1ec (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - れもねーるさん» コメントありがとうございます!最初から見てくださってありがとうございます(T_T)出来る限り更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 亜夢さん» コメントありがとうございます!最初から見てくださっているのですね( ;∀;)嬉しすぎます(T_T)亜夢さんもお体にお気をつけて!応援ありがとうございます!頑張りますね☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーる - 最初から見てます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月1日 10時) (レス) id: 34bb338129 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月30日 11時

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