107、偶然の再会 ページ9
涼が札幌にいることは知っていたから、もしかしたらどこかでばったり…なんてこともあるかもしれないとは思っていたけど。
まさかこんなところで会うなんて思いもしなかった。
「そう言えばさ?」
目の前の枝豆を摘まみながら涼が言った。
「うまくいってんの?なんだっけ。川島…だっけ?」
ドキッとした。
聞かれるかも…とは思っていたけど。
涼の口から出て来た名前に、鼓動が少し早くなった。
「ん〜、うまく…とは言わないんだろうな。
もうずっと会ってないし」
誤魔化すように笑うと、驚いたように涼が私を見た。
「え?別れたの?」
「え、違う違う。そもそも付き合ってないから」
「は!?」
短く声を発し私をガン見する涼の視線を感じながら、さっき頼んだファジーネーブルをゴクンと喉の奥に流し込んだ。
あ。甘い。
オレンジジュースみたい…。
飲みやすいそのカクテルをゴクゴクと飲んでいたら
黙って私を見ていた涼が「…ふぅん」と呟いて。
テーブルに置いた煙草を掴み、カチッと火をつけた。
……いつから煙草を吸うようになったんだろう。
何も話さなくなった涼は、短くなった煙草を灰皿に押し付けてはまた新しい煙草を咥えた。
ゆらゆらと立ち上る煙。
その白い煙が私と涼の間を、まるで境界線でも引くように流れた時
「席替えしまーす!」
主催者の男の子指示で「イエ〜イ!」盛り上がった男の子たちが一斉に立ち上がった。
「…ふぅ」
思わず安堵の息が洩れた。
だって、このまま隣にいるのは正直気まずかったから。
「じゃあ、男は気に入った女の子の隣に移動〜!」
悪ふざけなのか合コンじゃ当たり前のことなのか。
変に盛り上がった男の子たちが一斉に動き出した。
あら、なっちの周りが大変なことに…。
席の取り合いをする男の子たちを気にすることなく、カクテルを飲んでいるなっち。
やっぱりすごい人気だなぁ。
他の女の子たちも仕方ないって感じで、なっちの隣の席をめぐって男の子たちがジャンケンしている様子を横目で見ていた。
その時
「おっじゃましまーす!」
聞こえて来た声と共に、さっきまで涼が座っていた場所にひとりの男の子が飛び込んできた。
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ユチコ(プロフ) - なしなぎさ( =^ω^)さん» コメント&ニヤニヤありがとうございます笑 大好きと言ってもらえて嬉しいです( ;∀;)更新頑張ります☆これからもよろしくお願いします^^ (2018年8月6日 19時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
なしなぎさ( =^ω^)(プロフ) - これ見ていつもにやにやしてます…←変態wこのお話大好きです!更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年8月5日 17時) (レス) id: 807497c1ec (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - れもねーるさん» コメントありがとうございます!最初から見てくださってありがとうございます(T_T)出来る限り更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 亜夢さん» コメントありがとうございます!最初から見てくださっているのですね( ;∀;)嬉しすぎます(T_T)亜夢さんもお体にお気をつけて!応援ありがとうございます!頑張りますね☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーる - 最初から見てます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月1日 10時) (レス) id: 34bb338129 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月30日 11時