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142、優しい沈黙 ページ44

川島から連絡が来たのはそんな時だった。



今日もなんとか仕事を終え、ヘトヘトになった身体をベッドに投げ出した時鳴った携帯。
携帯を手に取り表示された名前にガバッと身体を起こした。



「も、もしもし?」

『……あ。俺』


間違いない。
川島の声だった。


「久しぶりだね…っ、元気だった?」

『うん。…こっち帰って来たんでしょ?』

「あ、うん。信金で働いてる」

『そうなんだ。どう?仕事。大変?』


電話の向こうから川島の息遣いが聞こえてくる。



「大変だよ、もぅ…、」

笑って答えたつもりの言葉が涙声に変わって、慌てて言葉を止めた。



『……栗原?』



どうして涙なんか。
見えないのに「なんでもない」ってブンブン頭を横に振る。

泣いてることを悟られたくなくて黙っていたら、彼の優しい声が聞こえて来た。

『……なんか。元気ないね』


そんなこと言われたら
ますます涙が止まらなくなるのに。



バレないように泣いている間、川島は何も言わなかった。

ふたりの間に流れた沈黙。
思えば、彼との電話はいつもこんなのばっかりだった。

だけど。

今日は違う。


話すことに困った時のあの沈黙とは違う。
彼が優しく私を待っててくれている沈黙だった。



…最悪だ。
せっかく電話をくれたのに、突然泣くなんて川島だって困ってるはず。



「……ごめん、川島。私…、」


涙を拭いて。
平常心を保って言った言葉に


『ねぇ、栗原』

川島の声が被る。


『ちょっと…出かけない?』

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ユチコ(プロフ) - なしなぎさ( =^ω^)さん» コメント&ニヤニヤありがとうございます笑 大好きと言ってもらえて嬉しいです( ;∀;)更新頑張ります☆これからもよろしくお願いします^^ (2018年8月6日 19時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
なしなぎさ( =^ω^)(プロフ) - これ見ていつもにやにやしてます…←変態wこのお話大好きです!更新いつも楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2018年8月5日 17時) (レス) id: 807497c1ec (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - れもねーるさん» コメントありがとうございます!最初から見てくださってありがとうございます(T_T)出来る限り更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - 亜夢さん» コメントありがとうございます!最初から見てくださっているのですね( ;∀;)嬉しすぎます(T_T)亜夢さんもお体にお気をつけて!応援ありがとうございます!頑張りますね☆ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーる - 最初から見てます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月1日 10時) (レス) id: 34bb338129 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月30日 11時

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