検索窓
今日:2 hit、昨日:54 hit、合計:33,337 hit

73、集団の中に ページ23

ジャージを着てエナメルのバッグを持った10人くらいの集団。

その中に


川島を見つけてしまった。


ドクドクドクドク。
速くなる鼓動。
泳ぐ視線。

反射的にパッと涼くんの後ろに隠れた私を

「…Aちゃん?」

涼くんが不思議そうに見た。


ぶつかった彼が最後にペコッと頭を下げその集団へと戻って行き。

その様子を…遠ざかって行く彼の後ろ姿を涼くんの後ろに隠れながら目で追った。



「Aちゃん、本当に大丈夫?」

私の動きが気になったんだろう。
目の前に涼くんの顔が現れ、ハッと我に返った。


「うんっ、ごめんね、行こっ!」


言いながら、少し震える手で涼くんの手を握った。





 



1年ぶりだった。

チラッと見えただけだったけど

あれは間違いなく、川島だった。

みんな同じジャージだった。
部活の帰りだったのかな。

大丈夫だよね?
一瞬だっだし川島は目が悪いから私だって気付かなかったよね…?






「……Aちゃん?」

名前を呼ばれて、ハッとした。


「Aちゃん、今、俺の話聞いてた?」


小さな喫茶店で、向かい合わせに座っている涼くんが困ったように笑った。


「あ、ごめん。なんだっけ…」

「Aちゃんの誕生日の話!なんか欲しいものあるかなって」


誕生日……?

あぁ、そうか。もうすぐ私の誕生日だ。


「んーん、特にないよ」

「えー、なんか言ってよ」

「なんかって言われても…。そういえば涼くんの誕生日は?」

「俺は6月」

「え、そうだったんだ!私何もあげてない」

「そんなのいいよ」

優しい笑顔を見せながら、涼くんがテーブルの上のチキンにナイフを入れる。



……そう言えば。
去年の誕生日は最悪だったな。
川島に振られたばかりで自分の誕生日なんてすっかり忘れてたし。
お母さんが買ってくれたケーキも、結局食べないで部屋に籠ってたんだった。



だけどそっか。
今年は私の誕生日を一緒に祝ってくれる人がいるんだ。



「じゃあAちゃんは誕生日までに欲しいもの考えておいてね」


バカだな、私。
昔ちょっと好きだった人に偶然会っただけでなにを動揺してるんだか。


「ありがとう、涼くん」


私には涼くんがいるのに。

74、二度目のキス→←72、繋いだ手



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 青春   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。