71、映画館 ページ21
デート当日。
昨日から始まったクーポン配布のせいで1時間近く残業となった私を涼くんはお店の前で待っててくれた。
「ごめんね、バイト長引いちゃって」
「全然大丈夫」
涼くんが「ん?」と出してくれた手に、自分の手をそっと添えた。
わ。なんか急にデートっぽい。
これまでも『どこか出かけたいね』って話は出てたけど、お互いのバイトの休みが合わなかったりでなかなか実現しなかったのに。
「Aちゃん、観たいのある?」
映画館に着き、上映中と書かれた作品をぐるりと見渡す。
「んー、どうしよう。涼くんは?アクション系?もしくはサスペンス系?」
そう言った途端、涼くんがグルン、と振り向いた。
「えっ、Aちゃん、アクションとか好きなの?」
「あ、うん。結構好き」
「そうなんだ!
俺、Aちゃんは絶対恋愛系だと思ってたわ」
「そう?まぁ嫌いじゃないけど緩い映画って途中で飽きて来ない?」
あはは、って笑って話す私の目の前で
「そっかぁ…」
涼くんのテンションがわかりやすく下がった。
あ、あれ…。
もしかして涼くん恋愛系の映画が観たかったんじゃ…。
「…あっ!でも今やってるこの映画は観たいと思ってたの!」
言いながら、トップアイドルが主演の話題の恋愛映画を指さすと。
パッと顔を上げた涼くんと目が合った。
「ホント!?じゃあこれにする!?」
あ。涼くんのテンション上がった。
「うん!そうしよ」
涼くんって、わかりやすい。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユチコ(プロフ) - Blueheartさん» コメントありがとうございます!嬉しい〜( ;∀;)更新頑張ります〜☆ (2018年7月29日 16時) (レス) id: 05c74de8b4 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 更新頑張ってください! (2018年7月26日 18時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユチコ | 作成日時:2018年7月16日 12時