元鬼殺隊の桜柱様は大切な人を作らず、ただひたすらに呪霊を狩る

最初で最後に愛した人 ページ34

ﾎﾟﾁｬﾝ…

ﾎﾟﾁｬﾝｯ…

女が水で出来た床を歩くのと同時に女からは

大量の涙が零れ落ちた。

？「…また、泣いてるの？」

？「…この子の心は壊れかけている。彼女には貴方が必要」

？「…僕は何の役にも立たない。もう死んでるから…」

『見守ることしか出来ない』

長髪の男は悲しそうな顔をしながら桜の木を見上げた。

？「…精神の核も破壊寸前ね…本当は分かっているくせに」

？「何が？」

？「自分の姉や知り合いを殺したのは誰だったか…」

？「…え？」

男は驚いたような顔をしたあとボロボロの核を見て
顔を歪めた。

本来、桜の呼吸を使う剣士の核は全ての呼吸の色が
混ざったような色をしている。

だが、目の前にある精神の核は後悔の色…

深い青で覆われて所々黒ずんでいた。

？「…やっぱり、アレが駄目だったのかも…
僕がAに呪いをかけたから…」

『愛してる』

？「…もしもあの子が迷い込んできたら抱き締めてあげて。
それは貴方にしか出来ないの」

“血の繋がりのない”姉を実の姉と思い込んでるあの子…

…そんなあの子が最初で最後に愛した大切な人。

？「…お願いね…ーーー。」

？「…うん。分かった」

そう言って微笑んだ彼は笑ってるように見えたが…

その瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた。

その涙が床に落ちて弾けたその瞬間…

ﾊﾟﾘﾊﾟﾘﾊﾟﾘ…

綺麗な水は凍り、色素がどんどん抜けていき

床は真っ白になっていた…

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