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「・・・」
『・・・』
沈黙。
二人が気絶してから私は静かにオペラさんが作ってくれた料理を食べ、起きたころにはすでに食べ終わっていた。
起きてからというもの、おじいちゃんは静かに椅子に座って俯いてるし、イルマ君は気まずそうにご飯を食べ始めたし…
オペラさんは我関せず、って感じだし。
うーん、なんて言おう。
『・・・あの、おじいちゃん』
「誰なんだい?」
『え?』
間を置くことなく静かに聞くおじいちゃん。
顔を一向にあげる気配はなく、表情が読み取れない。
『誰って…』
「その好きになった相手だよ。僕ももうAちゃんの家族で保護者だ。知っておくべきじゃない?」
『…それもそうですね』
「それに、もう家族なんだから敬語なんて使わないでいいよ」
スッと顔を上げ優しく微笑むおじいちゃん。
あぁ、なんて温かいことだろう。
悪魔なんて名前だけ。
そう思ってしまっても仕方がない。
現世の親の方がよっぽど悪魔だった。
私はこの幸せ、逃したくはない。
一つ深呼吸をして迷いのない目でおじいちゃんを見る。
「いえる?」
『…うん、大丈夫。ありがとうおじいちゃん』
「いい顔をするね…ここに連れてきた時とは大違いだよ。…Aちゃんがどんな人を選んでも、僕もオペラもイルマ君も否定しないし、むしろ応援するよ。とんでもなく非道なやつじゃなかったらね?」
うんうん、と後ろの方でイルマ君もうなずく。
オペラさんも心配ないですよ、というようにこちらを見つめた。
そうだよね…大丈夫。
よしっ…!私は変わるんだ…!
自分に自信をもって、全力でっ!
再度深呼吸をする。
心臓はずっとうるさいまま。
じっと私の言葉を待つ二人に目を向け、口を開く。
『おじいちゃん…私の好きな人』
『担任の、カルエゴ先生なんだ』
バタンッ
机の上のお茶が揺れる。
本日二度目の気絶タイム。
苦笑いをしてオペラさんを見つめる。
しっぽが揺れ、心なしか楽しそうなオペラさん。
どうやら一筋縄ではいかないようです。
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かなぶん(プロフ) - とっても先が気になります!! (2021年11月23日 11時) (レス) @page25 id: 27b575971f (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 面白っかたです! (2021年10月4日 0時) (レス) @page25 id: 0d42b433ed (このIDを非表示/違反報告)
はるな - カルエゴ先生カッケー (2021年9月23日 16時) (レス) @page25 id: 75221876c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し11981号(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります! (2021年6月6日 8時) (レス) id: c91637211e (このIDを非表示/違反報告)
あいみゅー(プロフ) - 紫狐 sikiさん» こんな感情的なコメント…!!!嬉しいです好きですっ(((早めに更新しますね〜!!! (2021年5月27日 14時) (レス) id: 9bcf96c2bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいみゅー | 作成日時:2020年1月14日 2時