二百十七話*さようなら ページ14
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皆で卒業式の会場へ向かった。学校の体育館ではなく、別の場所で。
マスコミは当然E組のことを待っていた。押し寄せる人の群れに思わず顔をしかめる。あまりメディアに出るわけにはいかない。
「哀と真知子は何処なのさ……」
此処で待っていてくれている筈だ。辺りを見回し、小柄な二人の子供を探す。
「野上さん。誰か探しているの?」
「うん、哀と真知子なんだけどさ……」
潮田君も一緒に辺りを見てくれた。大人に紛れている為か矢張り見つからない。
このあと皆は防衛省へ向かう。僕は別。態々危険な場所に行く訳がない。ポートマフィア本部に戻ってお説教を聞かなければ。
「……あ、いた」
それと同時にA組がE組を庇って進み始める。其の列から抜けて哀と真知子の元に向かった。
「ごめんごめん。じゃあ行こうか」
「ご主人。お別れの言葉はいらないの?」
皆はバスに乗り始めている。もうお別れだ。せめて何か云った方がいいだろうか。
僕がバスに乗っていないことに気づいたのか数名カーテンを捲り、窓から此方を指差して何か喋っていた。
何を喋っても涙が零れ、泣いてしまいそうな気がする。
手を振り、口パクでさようならと告げた。バスは発車し、皆と僕を遠ざける。
「主、これで善いのですか?」
「……しょうがないでしょう」
「じゃ、戻りましょうよ。エリスとお茶会しなきゃいけないの。ご主人はお説教くらうんでしょう?」
しなければならないことが沢山ある。それを終わらせたら、僕は何時か皆にまた会えるだろうか。
別れというのは何回しても慣れない。昔も、今も。
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🎓( '-' 🎓 )ボウシチャン - とっても面白かったです!完結おめでとうございます!殺せんせーのことでのも、もちろんですけど主人公の過去もとても泣ける過去で胸が苦しくなりました。本当に面白かったです!これからも頑張ってください!! (2022年1月2日 17時) (レス) @page21 id: 10ad70f45a (このIDを非表示/違反報告)
空川雲 - とても面白かったです。書き方が、とてもうまくて『すごいな』と、思いました。これからもいろいろ頑張ってください。 (2019年10月13日 23時) (レス) id: 6d9db03f24 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 完結おめでとうございます。あと質問なんですけど異能力者は暗殺教室に通います![番外編]【暗殺教室】【文豪ストレイドッグス】のパスワード聞いてもいいですか。 (2018年6月30日 9時) (レス) id: 07f01030e1 (このIDを非表示/違反報告)
あヴぇる - 完結おめでとう御座います。 (2017年7月23日 23時) (レス) id: 9908e90051 (このIDを非表示/違反報告)
天原依愛(プロフ) - くろさん» コメントありがとうございます! 他の小説の更新もがんばりますね……! (2017年7月16日 9時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天原依愛 | 作成日時:2017年7月1日 20時