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「これは父が言っていた事なんだけどね。『"マギアノ"には狂気性がない。天才が天才たるには、狂気性が必要だ。それを補うのが、カレアの日記だ』って。あれは父独自の理論だったけど、でも、"マギアノ"が"マギアノ"になる際には必ずあの日記を読む事になってるんだ。儀式みたいなものだよ」
そう説明すると、アイは眉を寄せて、
「でも、セレンはおかしくないよ。お父さんの言う事なんて、気にしなくて良いよ！」
と。"マギアノ"で、不老不死で、人を殺した事があって、マイカのする事に目を瞑っている、そんな十分"おかしい"条件を満たしている僕に、そう言った。
「ありがとう」
その、"誰か"を思わせる、僕に対しては純粋な瞳から、そっと目を逸らした。
……あの話の続きを、僕はまだ記憶から消していない。
・・・
「……セレンか。ライルとアリアはどうした？ ……あぁ、そうか。逃がしたのか。理解に苦しむな。サンプルはいくつかあった方が良いだろうに」
父は、人を殺した後だとは思えない程の平静さだった。
母だった死体を床に横たえ、血濡れた包丁をテーブルに置き、ソファに座る。
「……本当にお前は"普通"の人間みたいな事をする。マギアノは倫理観に縛られない、そうだろう？ いや、それこそがお前の異常なのか。俺が"異端"なら、息子は"正常"ってわけか。全く、面白い皮肉だなァ」
知的好奇心を湛えた目で僕を見据え、ニィッと口角を上げた。
「まぁいい。とりあえず、こいつが腐る前に、アレに魔法を使わせるか」
自身の妻をこいつ呼ばわりし、あまつさえ、そのまま放置し、父はある場所へ向かった。
書斎の奥、地下への道を開く。その先にある父の秘密の研究室。そこに、壁に所狭し張られた資料に隠れるようにして、壁と同色の扉がある。奥に開くその扉の先には階段がある。
父はそこで立ち止まると、僕の方へ振り向いた。
「セレン、アレを起こしてこい」
と、父はいつものように壁にもたれかかり、僕に命令口調で言う。
黙って従った僕は、階段を上り、その後に続く通路を進み、いくつかの角を曲がり……やがて、鉛色の扉の前についた。
なぜ父は行かないのか。それは、この扉の向こうにいる者が僕の言うことしか聞かないからだった。……そう、父の言う"アレ"とは、マイカだった。
ここで僕の記憶は途切れる。ここからの記憶を消したからだ。……逆に言えば、ここまでの記憶を消せなかった。
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです！アスラ君、大好きでした！ (2019年9月26日 7時) (
レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです！ (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます！いやぁ、めでたしめでたしですね！！アスラ君最後まで大好きでした！お疲れ様でした！！ (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも！ (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*ﾟ▽ﾟ*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/
作成日時：2016年4月26日 0時
