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鳴りやまない警報と止まらない地震に、治安部隊本部はパニックに陥っていた。
「先輩先輩! 国中でセンサーが反応したって、誤作動なんですかね!?」
 オレは自分でも分かる程情けない顔をして、頼れる先輩、すなわちシェイド・ラシュアン捜査官に縋りついた。先輩は渋い顔つきだ。
「お前も隊員だろ。しっかりしろ。あと、誤作動じゃない」
「ですよね!? 誤作動だったら良いのに! この地震も嘘だったら良いのに!」
「それは全員が思っている。今はできるだけ平静を保って、指示を待て」
 その言葉通り冷静な様子の先輩が、何だか悟りを開いた超人に見えてきた。
「よくこの状況でそんな事が言えますね!? 流石過ぎます!」
「……お前、普段そんなキャラだったか?」

 その時、バンッ、と部屋の前方で大きな音がした。上官がこちらの注目を集めるために机を叩いた音だった。
 シン、と静まり返る空間。

「各センサーの反応値を調べた結果、この森に近いセンサーほど、その値が大きい事が分かった。おそらく、この森のどこかでこの国中のセンサーが反応する規模の巨大魔法が使われている。この地震との関係性は不明だ」
 この揺れの中、よく噛まずに言えたなと思う。エリートは違うなぁ……ってそんな場合じゃない! そのエリート捜査官が指差した森が、どう考えても前に捜査した曰く付きの館がある場所だったのだ。
「先輩、あの森って……」
「あぁ、分かっている。十中八九、あの洋館に関係しているだろうな、この事件は」
「てか、事件って規模じゃなじっ……く、噛んだ……」
「そんな事もある。それより、あの館に行くぞ。あそこには同僚達が別件ですでに向かっているだろう? そしてこの巨大魔法を使っているのが館主だったら、あいつらがその魔法に巻き込まれているかもしれない」
 やはり先輩は冷静だ。オレは全くその可能性に頭が回っていなかった。まだまだ未熟だと実感させられる。

 上官も先輩と同じ考えに至ったようで、指示を飛ばしている。どうやら、館へ向かうチームとそれ以外を捜索するチームとに分かれるようだ。前者のチームの人数の方が多いようだから、この上官は、あの館が関わっている可能性が高いと考えているのかもしれない。
 オレと先輩は館へ向かうチームだった。

「気をつけろよ。下手しなくても死ぬかもしれないからな」
 本部を出る時、先輩がそう忠告してきた。その時一瞬見えた顔は、先輩らしくない冷徹さがあった……気がした。

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです!アスラ君、大好きでした! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです! (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます!いやぁ、めでたしめでたしですね!!アスラ君最後まで大好きでした!お疲れ様でした!! (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも! (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*゚▽゚*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/  
作成日時:2016年4月26日 0時

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