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私は暗闇の中にいた。右も左も前も後ろも上も下も分からないような闇。微かに何かに圧迫されるような感覚があるけど、まぁいっか。
「ふふー」
どう進めばいいかわかないし、何かふわふわして体を動かせているか分かんないけど、このまま行けばセレンの役に立てるし、あー、幸せだなぁ。
___苦しい。
ここを抜けたら何があるかな。たぶんあの"魔女"がセレンのところに来る前に、私は戻るんだよね。じゃあ、セレンは私の事を知らないんだー。びっくりするかな、会った時。どーかなー。
___辛い。
未来からマイカを殺しにきたって言ったら、褒めてくれるかな。私の事、もっと必要とし
___哀しい。
てくれるかな。マイカなんかよりずっと、
___憎い。
……あれ、何かさっきからざわざわする。気持ち悪い。身体が変になったわけじゃない。心がおかしい感じ。どうしたん
___苦しい辛い悲しい怖い嫌い憎い妬ましい怨む憎む死にたい
「うっ……あ、ぐっ」
色んな感情だ、これ。しかも他人のモノだ。さっきの圧迫する力がこれだったんだ。
恐い痛い嫉む怨恨鬱悲冷酷悪惨……
嫌だ嫌だ入って来ないで気持ち悪いし痛いよ。私の心を押し潰さないで。私とセレンの邪魔をするの!? だったら……
___殺す。
「……あ」
___殺す。
「あぁ」
似ている。この感情……出し方、色、質、みたいなのが、似ている、私のそれに。
突如現れたこの感情に圧されたのか、他の感情が小さく感じられた。代わりに、それはより一層強く響いた。その時、
ズッ、ズズッ
「何……?」
薄ぼんやりと頭の中に映像が浮かんだ。頭(いや精神?)が不自然に痛むのを我慢しながら、それを注視する。
回りを何人かに囲まれている。上から罵詈雑言と暴力が降ってくる。やがて、彼らは消え、残された1人……少女が呻いた。
『殺す、殺してやる。あいつら全員殺してやる!』
噛みつくような叫び。彼女の顔は見えないけど、何となく、その表情は想像できた。
『落ち着いて』
突然、少女の後ろに青年が現れた。ぽん、と彼女の両肩に手を置いている。
『大丈夫。俺がいる、レイラ』
……レイラ……何だっけ、知ってる気がする……思い出せないなぁ。……たぶんこれは、その子の記憶なんだろうけど、私とセレンに関係なさそうだし、早く終わってくれないかな……頭が痛いし。
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たまご(プロフ) - めっちゃ面白かったです!アスラ君、大好きでした! (2019年9月26日 7時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます(*^^*) アスラ君、好きになってもらえて良かったです! (2019年3月24日 2時) (レス) id: a49b6f3827 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます!いやぁ、めでたしめでたしですね!!アスラ君最後まで大好きでした!お疲れ様でした!! (2019年3月23日 15時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - なななさん» あなたの事は知ってますよー。コメントどうも! (2017年5月5日 21時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
ななな - すっごくおもしろいです!!!!! めつちゃ最高(*゚▽゚*)更新楽しみにしてまふ(( (2017年5月5日 14時) (レス) id: b05e83a60b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寒極氷化(かんごく ひょうか) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/orazu/
作成日時:2016年4月26日 0時