20話 ページ22
帰り、とても嫌な感じがした。
だっ、と走り出す。ジイドのところへ。
場所は分かる。__彼奴が勝手に喋ったから。
走るスピードをあげていく。
嫌な感じが的中してほしくない。
そう思った。目的の場所の入り口や周りには、夥しい量の死体。
だが、顔は幸せそうだった。
__________行き場のない、幽霊。唯一の行き場は、あの世だけだ。
駆け抜ける。夥しい量の死体をこえ、駆け抜ける。
嫌な感じが一向に収まらない。走ってるうち、銃声が聞こえた。
太「!来てたのかい、梓ちゃん」
「っ、太宰さん、嫌な、嫌な感じがする!」
そう言ったのもつかの間。
最期の時のように、銃声が鳴り響いた。
駆け付けると、倒れる織田作とジイド。
相討ち…か。
太「織田作!」
たっ、と走りだす太宰さん。
私も走り出す。
太が横になる織田作を抱えた。早く、直さなきゃ、といったところで織田作は聞け、と意思の強い言葉を発した。
そこからは何も覚えてない。
ただ、最期、私を呼んだ。
私は織田作の手を握る。血に濡れた手は、まだ温もりがあった。
織「梓、」
初めて、私の下の名前を呼んでくれた。
「それ以上、言わないで、なぁ、」
目の前がぼやける。
織「…っ、言えてよかった、」
織「好き、だ」
優しく微笑んだ。
「私も、」
ボロボロ、大粒の涙がでる。
最期に幸せそうな顔をして、そのまま、
眠った。安らかに、
嗚呼、結局、私は何も出来なかった。
織田作、貴方は素晴らしい、誇らしい友人だった。
最初で最期の友人だった。
どうか、神様救ってくださいと願っても運命は運命。そんな、死人が行き交えることもない。
織田作は一人、静かに眠りついた。
そこからは誰も何も言わなかった。
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送り犬 - ジイドとさんこいちと綾辻先生マジ癒し・・・更新頑張って下さい!ちょっとした話も楽しみにしています! (2016年11月28日 17時) (レス) id: 76d55a8e04 (このIDを非表示/違反報告)
朱雀(ただ単に馬鹿な奴) - この作品を読んで綾辻ファンになりました(≧∇≦)(あと九話で芥田ではなく芥川では?)更新頑張ってください( ^ω^ ) (2016年8月1日 19時) (レス) id: 166e27af34 (このIDを非表示/違反報告)
柊奏里(プロフ) - すみません、間違っていたら申し訳ないのですが、安吾の一人称は「私」ではなく「僕」ではなかったでしょうか? (2016年7月14日 22時) (レス) id: 1714fddac5 (このIDを非表示/違反報告)
コーヒー豆 - ジイドさんと織田作可愛い癒しだ。更新頑張って下さい(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年7月14日 21時) (レス) id: ed7190f987 (このIDを非表示/違反報告)
トマトマン(プロフ) - 物凄く良い←俺得作品です!私、織田作も好きだし外伝組も、特に綾辻先生と深月ちゃんと京極さんが好きです←←((結局全員(笑) ちょっとした話の時の織田作とジイドの会話が面白かったです!!此れからも織田作をちょくちょく出して欲し(( 長文失礼しました(^^ゞ (2016年6月25日 0時) (レス) id: b576dbc997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:熱発電 | 作成日時:2016年5月25日 3時