宝物 2

最後の仕事 ページ41

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「おはようございます」


KN「おはよーAちゃん」


HB「ヌナおはよう」


早朝、アパートの前に停まった黒いバンに挨拶をしながら乗り込む。



「ケン君ホンビン君おはよう」


あれ？


メンバーを確認したら珍しくお兄ちゃんがいなくて、


「ひょっくんおはよう」


HY「ヌナ今ひょんじゃなくてガッカリしたでしょう？」


「そんな事無いよ」


あと一人はひょっくんだった。


たぶんもう一台の方だったんだ。


いつも乗る時は一緒に乗り込むから必然的に同じ方に引っ張られるけど、今日は空港まで行くのに家に寄ってもらい、拾ってもらう形になったから。



RRRR……


荷物を足元の隅に寄せて腰を落ち着けていると、ケン君のケータイが鳴った。


KN「はいはいもしもし？あ、噂をすればテグニ〜！Aちゃん？いるよ？え？元気だし今日も可愛いよ大丈夫。え？なに？
ダメダメ。僕達のAちゃんだから渡さないよ？
ムダだよーん。全然怖くないよーん。はいはいじゃあね〜」


ケン君の電話の会話に皆で笑いながらバッグに入ったままのケータイを確認すると、ほんの三分前に何回か着信があったみたい。

音消してるから全然気付かなかった。

誰？って、言わずもがな。



HB「ヌナも朝から大変だね」


KN「今日はこっちの車でゆっくりできるね」


「うん、フフッ。ありがとうケン君」


またケータイが震えだしたけど、気付かなかった事にしてバッグの中に戻した。


後できっと怒られるだろうけど、私は６人皆の日本語講師だもん。
最後くらいはちゃんと韓国に来た使命を全うしたい。




そう、これが彼らと一緒に乗れる最後の車移動。

そして、今から日本へ行く。



明日から日本のツアーが始まるから、私も通訳として同行することになり、これが私の最後の仕事となる。


何を隠そう私が韓国に来たのはこの為で、
この日本ツアーで、私の講師力も試される事になる。

別に会社にどうこう言われた訳じゃないけど、自分で決めた自己診断。

彼らが日本で、覚えた日本語を駆使して活動出来るようになっていれば私の仕事は成功ということになるのだ。





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