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僕の彼女の音 1 ページ21

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疲れた……


相変わらず忙しいスケジュール。

暖かくなってきたからと言って、それが緩和される筈も無く、有り難い事だとは言え、気持ちはあっても体力が持たなくなる時がある。


そんな時、僕が頼るのはやっぱり

僕の彼女の腕の中。


厳密に言うと胸の中。
でもここは″腕の中″って事にしておこう。







帰宅があまりに遅いと、Aはもうベッドで寝息を立てていて、起こさないようにそっと隣に入り、彼女を見つめながら眠りに落ちる。


でも時々、今日みたいに疲れがピークの時、どうしても甘えたくなるのを我慢出来なくなる。


彼女の小さくて穏やかな寝息が、まるで僕を安らぎの世界へ誘っているように聞こえて、
Aの優しいシャンプーの香りが僕の細胞を勝手に操作したかのように……


「…………ん……」


距離をゼロに縮めて、彼女が小さく声を漏らしたのにも構わずにその魅惑の体温の中に潜り込んだ。


……いい匂い……


腕が冷えてる。


これじゃ風邪引くから暖めてやらないとな。


っていう口実が出来上がって無意識に口角が上がる。



ここは……

柔らかくて、天国みたいに幸せな場所だ。



勘違いしないで欲しい。
決して変態な訳ではない。
特別女性の胸が好きな訳でもない。

ただ、Aの香りに埋もれて、
Aの体温に包まれて、
Aの心臓の鼓動に安心してるだけだ。


彼女の穏やかなこの音を聞いていると、もう失ってしまった、母のお腹の中で守られて愛されていた時の記憶が蘇ってくるようで安心する。



「……ぉかえり」


小さな掠れた、舌っ足らずな声で、ほぼ寝ながらそう言って、
僕の頭を撫でて、きゅ……っと抱き締めてくれる。


「ただいま」


苦しい……


でもそれが幸せ。


……暑い……


でもいい匂い……


あぁ……安心する……


そして今夜もいつの間にかBlack out。




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作者名:サラン | 作成日時:2017年7月4日 6時

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