俺が恋をしたのは片足がない人だった。【高尾和成】

さんじゅうよんの障害 ページ37

あれからまあ、たくさんデートしたり、家に泊まったり、身体を重ねたりして。
Aも、もう一人で出かけられるようになった。

それは俺もうれしいし、Aの笑顔も増えた気がする。
でも、ひとつだけ。あいつは雑誌を見ていると、顔が曇る。前に一度聞いてみたことがある。

『雑誌、気に入らねーの？』
『ううん。こういう女の子達みたいにミニスカートとか履いてみたいなーって思うんだけど、やっぱこの足じゃ、ね。』

そりゃそうだよな。可愛いかっこできなくて、いつもロングスカートばっか履いてる。

そんな時、ある記事を見つけた。

『障害者モデル募集 障害があっても、あなたは輝ける』


「無理だよ、モデルなんて…。第一、受かるかどうかも分かんないし。」
記事をみせると、そんな答えが返ってきた。
俺はいけると思うんだけどな……。

「一応応募、しとくからな。」
「うん。ありがとう。」

記事と履歴書をポストにいれた。
それから一週間後、

「A！！一次審査合格だってさ！」
「うそ……」
「やったじゃん！！二次審査は会場に来てくださいって！」
「う、うん……なんか、驚いちゃって言葉が出てこないけどさ、」

目に涙をためて、
「私も、この足も、ちょっとでも認めてもらえたってことだよね……？」
そういうこと、だよな？

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