俺が恋をしたのは片足がない人だった。【高尾和成】

じゅうろくの障害 ページ17

「じゃあ、俺が連れてったげる。」

俺がそう言うと、彼女の顔は周りに花が咲くようにパアっと明るくなる。
でもすぐに手をブンブン振って、

「いいです！大変ですし、高尾くんにだけ負担がかかっちゃいますし…。」

あ、犬みたい。
彼女を見ててそう思った。
今はご主人に遊んでもらえなくてしゅんとしてる、みたいな。

「いや、連れてってみないとわかんないっすよ？バスケ部だから、結構体力に自信あるし。」

彼女はにやけるのを必死に我慢してるつもりだろうけど、はっきり言って我慢できてない。
いつも以上に嬉しそうだ。

「じゃ、じゃあ、お願いしてもいいですか？」
「よろこんで。」

俺のその声を聴くと、すぐにニコッと笑う。よっぽど嬉しかったんだろうな。
その笑顔はすっげー魅力的で、見てるこっちもなんだか笑えてしまう。
そんな不思議な笑顔だった。

「あ、じゃあ、メアド交換しません？あと電話番号。」
「そうっすね。」

お互いのスマホのメアドと電話番号、ついでにLINEの登録もしてしまった。

家に帰ると
『楽しみですね( *´艸｀)』
なんて可愛い顔文字付きのメールが送られてきて、思わずにやける。
晩飯中もそれはそれは盛大ににやけていたらしく、この間はやさしかった妹に、

『お兄ちゃん、なんかキモイね。』

なんて言われた。
お兄ちゃん、傷ついちゃうからね。

机には映画のパンフレットと彼女のメアドが入ったスマホ。
にやけ、止まんねーんだけど。

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