ルトリアングル2

僕の愛した人 ページ47

「なんで、あんたみたいな奴とジョンハン君が一緒にいるのよ」





スーパーで追いかけてきた女の子は、Aと同じ制服を着ていて




敵意を向ける女の子、恐怖の色を浮かべるA






「ジョンハンて、誰ですか？」






そんな彼女に、Aはそう言って急いで僕を連れ帰った。




そう、Aはジョンハンを知らない





僕の知っている限り、ジョンハンは壊すことが大好きで、人が苦しむのを見て笑って、いろんな卑怯な手を使って欲しいものを手に入れるような奴だ





そんなジョンハンを知ったらAはどうなるんだろうか？




きっと、嫌いになるにきまってる




どうせ離れて行くに決まってる





僕の今までしてきたことに、後悔しきれないくらい後悔するけど





Aが離れてしまう前に、僕から離れてしまおうかなんてまた考えてみるけど





どうしたって僕は、Aから抜け出すことができない









そんな恐怖を抱えながら、彼女は家に帰ってこなくなった







もうそろそろ帰ってくる時間なのに




僕は不安になって、外に出て彼女を探す





ああ、もしかして彼女は僕のことを知ってしまったのかもしれない




僕のことを嫌いになったのかもしれない




そんな恐怖ばかり募って




もう頼るのはジスしかいなくて、僕はジスに電話をかけた。






【もしもし、おい、ジョンハンっ、今の今までお前どこ行って…】





「はっはっ…ジス、お願いがある」





初めてこんなにも息を切らして走った






「Aって言う、女の子探して欲しいっ」






初めてこんなにも手放したくないと思った






僕と同じ一人ぼっちの女の子






彼女は弱いけど懸命に今を生きようとしていた





でも、決して何にも歯向かうことなく諦めたような顔をして





変わらない時間の流れをただ受け入れる






僕とは違って不器用な彼女を守りたいと思った





今まで何かを壊すことしかしてこなかった僕なんかが






守ることができるなら





だから、どうか僕を置いていかないで






「Aっ」






海の方に向かって逃げるAを迷いなく追いかける






「なんで、逃げるっ」






やっと見つけたんだ







「Aがいないと思うだけで苦しい、僕をこんな風にしたのはA自身なのに…どうしてくれるの？」







初めてこんなにも人を愛した







それでも、僕は何かを壊すやり方でしか
彼女を守る方法を知らない。

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