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226.和尚の話 ページ26

「おっ、杏寿郎さんお出かけかい?」



「和尚さん!こんにちは!

 はい。出かけて参ります。

 和尚さんはごゆっくりしていってください。」



「ありがとう。気をつけてね。」


 私たちは杏寿郎さんを見送ると、

 和尚さんを家に招き入れ、居間で話をした。


「お父上はどうかね。」


 千寿郎くんはお茶を机に置きながら答える。



「変わりないです。


 あ、でも以前より自室から出ることが増えてきました。」


「そうかね。…今日もお話は難しそうかな?」


「先程、声をかけましたが…」


「いや、いいんだよ。」


 私は台所から羊羹をもって来て、和尚さんに差し出した。


「どうぞ。」


「ありがとう。


 槇寿郎さんと瑠火さんはとても仲が睦まじくてね、

 見ているこちらまで幸せな気持ちになっていたんだ。」


 和尚さんは千寿郎くんの頭を撫でる。


「特に千寿郎くんたち子どもを

 お二人は大切に思われていてね。

 よく話をしてくれたものだ。」


 千寿郎くんは目を潤ませた。


「きっと、お父上は表面上では

 ぶっきらぼうなことを言っていても

 その心は変わっていないと思うよ。」


「…はい。」


「君の母上、瑠火さんもきっといつもそばにいるだろう。」


 千寿郎くんの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちる。


 私はそっと千寿郎くんを抱きしめた。







 和尚さんがお帰りになるとのことで


 私たちは玄関まで見送った。


 私は門まで出てお礼を言うと、


 和尚さんが何かを思い出したかのように


 私に小さなものを差し出した。


「これは?」



「Aさんにあげるよ。」




「…お守りですか?」



 すると、和尚さんは優しく微笑んで告ぐ。



「子に恵まれ、幸せな家庭が築けるよう祈りが込められた

 お守りだよ。」
 


「子!?そんな!私はまだ…」



「はっはっはっ!分かっておる。そのうちだよ。


 Aさん、杏寿郎さんとお付き合いしているのだろう?」



「…え!?」



「話は千寿郎くんから聞いているよ。

 二人の話をする千寿郎くんは

 いつも笑顔でね、幸せそうなんだよ。」


 突然の話に私は頬を熱くした。



「では、またそう遠くないうちに

 槇寿郎さんの様子を伺いにくるね。」


「はい。いつもありがとうございます。」



 私は和尚さんから頂いたお守りを大切に握りしめ、

 
 家の中へと戻った。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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