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227.行き場をなくす指先 ページ27

※ これより先、
 アニメ『鬼滅の刃 無限列車編』
 第1話 炎柱・煉獄杏寿郎及び
 『鬼滅の刃 無限列車編』のネタバレ等含みます。
 コミック未読、映画等未視聴の方はご注意ください。





 和尚さんが来て2日後の夕刻のこと。

 杏寿郎さんは巡回に行くとのことで

 自室で支度をしていた。


 私は杏寿郎さんの支度が終わるまで、

 居間で新聞に目を通す。


 どうやらこの頃、切り裂き魔事件が頻発している様子。

 
 恐ろしい人間の犯行だろうか…


 それとも…




「A」



「はい。」



「行ってくるな。留守を頼む。」



「お任せください。」



 そう私が言うと、


 杏寿郎さんの匂いに包まれた。


 この匂い、好きだなあ。


 とても心が落ち着く。



 そっと身体が離れ、いつもの明朗な声で


 "いってきます"と言うと、外へと行ってしまった。


 








 それから杏寿郎さんが帰ってきたのは、


 次の日の明け方だった。



 朝方、玄関の戸の開く音がかすかにして


 眠い眼をこすりながら廊下を進む。


 すると、びくともしない胸板とぶつかった。



「…ん?A?」


「…あっ、杏寿郎さん、おかえりなさい。」



「ただいま。


 起きていたのか?」



「いえ、たまたま目が覚めてしまって…。」


「そうか。まだ早いから布団に戻ろう。」


 杏寿郎さんは私の手を引いて廊下を歩き出す。


「…はい。

 今日は遅かったのですね。

 鬼が出たのですか?」



「うむ。…だが、鬼を見つけることは出来なかった。

 女性が鬼に襲われた後でな…

 逃げ足の速い鬼のようだ。」



「その女性は…?」



「命に別状は無さそうだ。

 応急手当てをして医療班に任せたところだ。」


 私はほっと胸を撫で下ろした。


「そうでしたか。

 もしかして、"切り裂き魔"

 と呼ばれているものでしょうか?」


「どうやらそのようだ。

 まだ見つけられていないから、君も用心するように。」




 杏寿郎さんは私の部屋まで連れると


 布団をめくり、褥に横になるように導いた。




 私は導かれるまま褥に横になると、


 杏寿郎さんは布団をかけ、腰を上げようとしたので


 思わず隊服の袖のあたりを掴んでしまった。



「…どうした?」


「あ…ごめんなさい。」



 私は慌てて掴んでいた手を離す。



 秋と冬の間



 冷えた指先は行き場をなくしていた。







 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - sayaさん» sayaさん、ご感想をありがとうございます!一気読み嬉しいです〜!勿体無いお言葉まで…感謝の気持ちでいっぱいです。。ぜひ、他の作品でもお待ちしておりますね!最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 (10月20日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして!キュンキュンしたり、切なくなったり、ホワホワしたり、で一気読みしてしまいました。とまりませんでした。このお話と出会えてよかったです。他の作品もこれから読まさせて頂きます!! (10月19日 23時) (レス) id: 7154e48ffe (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - もにょさん» もにょさん、最後までお読みいただき、そしてコメントをしてくださり、ありがとうございます!最高な作品だなんて…幸甚の至りです!またいつでもお越しくださいね。 (2023年5月6日 8時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
もにょ - ハンカチがびっしゃびしゃになる程泣きました。甘く切なく幸せな夢をありがとうございました。最高な作品に出会えて幸せです。長編お疲れ様でした! (2023年5月6日 4時) (レス) @page48 id: c62f6d1e54 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 桜月夜さん» 桜月夜さん、感想ありがとうございます!感動してくださるなんて光栄です!素敵なお言葉までありがとうございます(*˙˘˙*) (2021年11月19日 17時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年11月5日 19時

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