138.言の葉にのせて ページ38
夕餉を食べ、
湯浴みを終えた私は、
杏寿郎さんの部屋の前にいる。
どくどくと脈を打つ音が耳にこだまする。
「失礼します。Aです。」
「中へ入っておいで。」
襖をゆっくり開けると、杏寿郎さんは筆をとり、
なにやら文を書いていた。
私が部屋の中へ入ると、書いていた手を止め、
体の向きを変える。
私は杏寿郎さんの近くへ歩みを進めて腰を下ろす。
浴衣姿の杏寿郎さんは
いつ見てもやっぱり男前で色っぽい。
「A、本当はもっと早く君に伝えなければいけなかった。
遅くなってしまい、申し訳ない。
あの後から有耶無耶になってしまっていたな。
でもやはり、しっかり言葉にしようと思う。」
杏寿郎さんは私の垂れた髪を耳にそっとかける。
時が止まったように
あたりは静かになる。
「君のことが好きだ。
俺の恋人になってはくれないか?」
杏寿郎さんの瞳が行燈の明かりに照らされ、
緋色の輝きを放つ。
私は幸せになっても良いのだろうか。
人の心を傷つけてしまった。
それでも…いい?
"必ず幸せになりなさい"
ああ、そうか。
想いは託されたんだ。
華恵さんの気持ちを無下になんてできない。
「私も、杏寿郎さんのことが好きです。
こちらこそ…よろしくお願いします。」
私がそう言うと、杏寿郎さんは力いっぱい
離れることのないように
きつく、きつく
私の身体を抱きしめた。
434人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時:2021年10月16日 14時