君が思い出すまで【煉獄杏寿郎】

36.兄の忠告 ページ36

女性を近くの病院まで運ぶと、

　医者がすぐに対応してくれた。

　今は意識がないが、命に別状はないという。

「良かった…。」

「うむ。あとは医者に任せて帰ろう。」




　病院を出て歩き出した時、


　突然煉獄さんに横抱きにされた。


「煉獄さん！？」


「歩かせてしまってすまないな。

　右足が痛いのだろう？無理をするな。」


「…ありがとうございます。でも、恥ずかしいです…。」



　なぜ？というような顔で私を覗き込む。


「いや…その…あまりこういった経験がないので…」


　さすがに意識しちゃうよ。

　誰にでもするのだろうか。

　優しい方だから、

　誰であっても同じことをするのだろうなあ。


「ははっ。そうか！」


　煉獄さんは基本動じない。




　女の人になれているのかな？

　こんなに綺麗な顔をしているのだから、

　さぞモテるのに違いない。

　経験だって…


　って、私は何を考えている！？
　


「ついたぞ！」


　一人でいろいろと考えているうちに煉獄家に着いた。

　門をくぐると、千寿郎くんが庭の掃除をしていた。


「兄上とAさん？早かったですね。おかえりなさい。」


　兄が私を横抱きにしている状況に、

　不思議そうに首を傾げる千寿郎くんに、

　煉獄さんは告げる。


「ただいま戻った！千寿郎！

　Aが怪我をしたのでな！

　買い物をせずに戻ってきた！

　Aに大事な話があるから、しばらく俺の部屋にいるが、


　用がある時は声をかけるように！」

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