八十六話 転移させられた者 ページ7
_____ベベンッ__________ベベンッ_____
…………どこからか、弦楽器の音が聞こえる。
Aは、霞かかった意識が浮上すると共に、その音を聞いた。
なんだ…?と体を起こせば、そこは最終選抜を受けていた
「……なっ………んだ……ここ………っ!?」
まるで重力という力など存在しないかのように存在する和の館。
いや、館といっていいのかすら、わからない。
見渡す限りに、襖、障子、木の柱、階段。
そのどれもが、上から右へ、左から下へ。
斜めにもかかっていたりもして、Aが座り込んでいるこの畳ですら、"床"ではなく"天井"なのではないか、と錯覚する程だ。
だが、髪や服が上へと引っ張られていない事から、一応この畳が床であると仮定する。
「炭治郎は…………いや、まず空間転移か……?俺を一瞬で転移させるたぁ……手馴れてんなぁおい…………」
ほう、と感嘆のため息を吐くと、Aはこの空間への驚愕は薄れ、よっこいしょとその腰を上げた。
立ち上がれば尚狂いそうな平衡感覚にAは少しよろめきながら、とりあえず下は見ないようにしようと前を向く。
_____それにしても、豪勢なところだ。
至る所に冨岡の屋敷では見ない豪華な襖や障子がある。
………………どっかのお屋敷か?
お金持ちな方なんだろうなぁと腑抜けた考えを巡らせていると。
__________ベベンッ
また、何処からか弦楽器の音。
Aがその音の出所を探ろうと振り向いた時には。
…………目の前の風景が、変わっていた。
「…………音がトリガーの転移術式………いや、これが噂に聞く"血鬼術"ってやつか?」
この世界に魔法など無いということを踏まえれば、小耳に挟んだ魔法に酷似した鬼の妖術だろう。
Aが反応出来ない程の速度で転移させられるとは、本人も驚きものの気山椒の木である。
となると、Aが意識を戻すまで聞こえた弦楽器の音は二回。そして今ので三回目。
………少なくとも、三回は転移させられているとなる。
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時