百八話 隊律違反した者 ページ30
「はあ゛ぁ!?」
「ぐッ………ぁッ!?」
ガツンと鎌の刃がAのリナルドの刃を滑り、慌てて頸を守ろうとしたAの腕が飛んだ。
あっぶねぇ………とダラダラ血を流しながら、冷や汗がツウ、と垂れた。
と思えば、屈んでいた視界が胸元の圧迫感と共にディバルトとタメにまで上がった。
「おいテメェ!鬼殺隊に入ったのか!?」
「は、入ったの、かって…なに、お前焦って………っ。つ、かくるし……っ」
「おい答えろッ!!じゃねぇと俺様が隊律違反くらっちまうじゃねぇか!!」
ぐんっと引き寄せられて
_____隊律違反?
なんだ、それはと問えば必ず頸が飛ぶ。
そう直感したAは、致し方ないとコラテラルダメージだし俺は悪くないしと言い聞かせながら、とある術式を展開させた。
「_____"沈んどけ"ぇッ!!」
黒光する禍々しい魔法陣。
それは、ちょうどディバルトの頭上と足元に現れ、その魔法を発動させた。
ガクン、と文字通り"沈んだ"彼の顔が、焦りと怒りで歪む。
_____重力魔法圧縮術式。
呼んで字の如く、重力を増し増しにする魔法である。
ただの人間がその空間で生きれるはずもなく、ペチャンコに潰れるのがオチだが、生憎相手はあのディバルトである。
_____異世界人、そしてAの相棒という肩書に恥じぬ彼は、少し増した重力に体が壊れるなんて事は無い。
が、足止めにはなるからAが良く使う一時休戦の合図である。
膝をつき苦しげに見上げるディバルトに、解放されたAは咳き込みながらも状況を整理する。
_____隊律違反。成る程、その言葉の意味を察するに、鬼殺隊員同士の殺し合い、とかだろうか。
ディバルトが着ている隊服から見て、彼が隊員を殺れば、確かに違反モノだろうが、待て。
そもそもAは鬼殺隊へ入るための切符を手にして帰ってきたその帰路である。
つまり、まだ入ってない……とAは考えるが。
_____彼の焦りよう。
まさか、拒否権とかないパターンなのか、これ。
「な、なぁディル。最終選抜って合格した瞬間から鬼殺隊に入ってんのか、これ」
まっさかね〜ぇ?と笑うA、だがディバルトは。
「………テメェ、マジで入ったのかよ」
チッと素晴らしい、お手本のような舌打ちと共に言い放った。
…………どうやら、もう鬼殺隊員らしい。
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時