九十六話 先を見据える者 ページ17
「(だが、空中でこれは躱せないだろうッ!)」
焦りに額を滲ませても、けれども瞳はいつでも勝ちを確信している、目の前の鬼。
確かに、鬼の強さは異常である。
50人以上の人を喰らったその実力は、確かに炭治郎を苦しめた。
そして、あのAですら、苦しめた。
だが………
全ての意志を持つ生き物全てに該当するならば。
"鬼もまた過信するならば"
「ふんッ!!」
_____いつでも自分の力を疑え。
「なッ!?」
一か八かの、頭突きによる手の軌道修正。
鬼が放った攻撃を、頭突きで軌道をズラすという、大胆な発想。
だが炭治郎はそれが必ず成功するとは思ってはいない。
これがダメだったら次の手を。それもダメだったら_____
そうして、先を見据える。
そして軌道が、"炭治郎が信じる割合の僅かの可能性で"逸れた為、次に炭治郎がすべき行動を_____
鬼の手を伝い、間合いへと入る。
その時に、己の鼻を使い、けれどそれに頼り切るなと言い聞かせながら、走る。
躱すだけではない、斬り落として道を作ってでも良い。
とにかく、間合いへ。そして、頸へとその刃振るうために。
_____そして
「ッ!!(間合いに入られた……ッ!?)」
ダンッと力良く蹴り飛んだ炭治郎は、鬼の頸へと間合いを詰めた。
その刀を振るえば、殺せる距離で。
_____だが、鬼は。
「(俺の頸は硬い。あの宍色の子供や"水色の髪の男ですら斬れなかった"。刀が折れたところを殺してやるッ!)」
_____人は、皆勝利が連なると油断するものである。
炭治郎はAに言われた事を何度も繰り返した。
_____この世界、そして元の世界でも、絶対なんて無かった、と。
だからこそ、過信し過ぎるな。まずするな、と。
でも人は無意識に過信するから、その時は止めてくれる"相棒"が必要だと。
_____今だけは、炭治郎。俺がお前の相棒になってやる、と。
笑いながら、けれど目は強く光っていながら。
Aは、とても綺麗に笑った。
「全集中 水の呼吸 壱の型」
_____水面切り_____
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時