九十四話 鬼に喰われた者 ページ15
_____炭治郎は、絶句した。
自分が、15人目。
つまり今まで14人もの弟子が、この鬼に殺され喰われたという、事実。
目の前の鬼が、優しき師匠の心に深傷を負わせた元凶という紛れもない真実に。
「特に印象に残っているのは"三人"だ………
だが続けられた言葉に、炭治郎は頭が真っ白になった。
宍色の髪、と聞いて…そして鱗滝の弟子と繋げればただ一人。
………"錆兎"、か?
最終選抜への許可を得るために岩を切れと言われ、そして岩を切った炭治郎のその事実の裏に。
確かに、宍色の少年が、錆兎が炭治郎に稽古をつけていた。
「あと花柄の餓鬼だ…彼奴はすばしっこかった」
花柄の着物……"真菰"……。
錆兎と同じく岩を切るための稽古で、特に座学の様に力の使い方を教えてくれた、可愛らしい女の子。
_____あの二人は…この鬼に殺されていた。
もう、生きてなどいなかった。
だから、何の匂いもしなかったのか。
_____だが、俺はあの二人に稽古をつけてもらっていた。
それは揺るぎない事実だと、炭治郎は確信して刀をしっかりと握る。
…………その、次の言葉に脱力するまで。
「そして一番強かったのが、"水色の髪の男"だァ」
………………え?
「……ど、いう…………ことだ……っ」
声が、震えた。
水色の、髪。鱗滝さんの、弟子。
「彼奴は"着物では無かった"が一番強かった。頸を斬ろうとしたところを喰ってやった」
着物では無い………………。
………待て。
やめろ、これ以上言うな。
心が叫ぶが声にならない。
口がカラカラに乾いて、舌が回らない。
「彼奴が一番美味かったなぁ。体もデカかったし喰いごたえがあった」
__________、と。
……炭治郎は、何かがキレる音を聞いた。
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時