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九十一話 まともな者 ページ12

もう鬼の巣窟へと足を踏み入れた彼の言葉が頭をよぎった。




過信。〈過度な信用〉と書くその言葉に炭治郎は、成る程、と素直に思った。





こうしてAを見下す彼らは、確かに過信している。





あんなふざけた彼奴より俺の方がまとも(・・・)だから、強いだろうと。





しかも、それに本人が気が付いていない。









…………こういうところが、人の弱いところ、か。





炭治郎は、Aに続き文句を言う隊士やら無言で続く隊士の背を見て、少しだけ心が痛くなった。






……鬼が巣食う山で七日間を生きろ。







炭治郎は、鬼殺隊に入り宿敵を殺す為、そして禰豆子を人間に戻すために、ここにいる。






_____今はただ、生き残る事を考えろ。






心を痛めて同情している暇などない。







狐の面をしっかりと頭につけ、炭治郎は両頬を思い切り叩いた。









_____よし、行くぞ。









………そうして入ったのが懐かしく思える、と炭治郎は薄く笑った。




はっきり言おう。




この最終選抜は尋常じゃない。それはもう、そんな言葉で言い表すことが出来ないくらいに、"ヤバイ"。





一体、何人の志願者が喰われた、何人の死者が出た。
そして、斬った鬼の頸の数は幾らだ。





その問いに、炭治郎は苦虫を噛み潰したような顔で。







_____志願者の殆どは逃げ惑い、斬った鬼の頸は一桁だ、と。





やはり、Aの言う"過信"であるのだろうか。




一度、炭治郎は鬼が喰い散らかした後を見た。
その時の匂い、光景が焼き付いて離れない。





_____だが、炭治郎は走った。
彼の死を無駄にはしない、と。





炭治郎は過信をしない、それだけを心の内に秘めている。






他人の命を助ける事も大事だが、それよりも自分の事を_____





そう、Aに教わった。








_____だが。







「ひ、ぃい!!たす、助けてくれぇッ!!」








木に隠れ、その様子を見ていた炭治郎。





走っていた息を整えながら、赤い瞳を丸く開けて、それを見ていた。









なんだ、あの鬼は_____ッ!?

九十二話 異形の鬼なる者→←九十話 最終選抜の説明を受ける者



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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時

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