ヒーローに捧ぐ【伏黒恵】

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*




そしてあの歓喜にあふれた
私のセリフに戻るわけなんだけど...







圧巻。




もうその一言に尽きた。




『伏黒、すごいね。東京だけでもこんなに広いんだね』

伏「東京どころか、今日は晴れているから富士山も見えるぞ。」

『ええ！？日本一高い山！！』




一面ガラス張りの中に広がる景色の広大さに
私はずっとはしゃぎまわっていた。


伏黒は入り口でもらった観光ガイドに沿って
いろいろと説明をしてくれた。



あれは有名などこどこで

あっちに見える水平線は〇〇海で

あの方角には何県がある




最初は【友達ごっこ】の提案に
面倒くさそうにしていた彼だったが

存外、面倒見がいいようで彼の案内に
一挙手一投足、私は盛り上がっていた。
(そのたびに静かにしろと怒られたが)



しかしどんな案内や景色よりも

何より誰かと...友達と、過ごしているこの時間が最高に嬉しかった。





『やっぱり来てよかった！こんなに素敵な世界を私は守れるなんて。猶更、誇りに思えたよ伏黒』



一通り歩き回りながら説明を聞き終えると
私はガラスにへばりつくようにして遠くを眺め呟いた。


伏黒はそれに対して、
何かもの言いたげな顔をしていたが。



しかし私はそこを深く追及することなく




『反対の方にも移動しよう！いくよ、伏黒！』




満面の笑みで振り返ると

彼の手を引っ張って
人ごみをかき分け進んだ。





　






＊






伏「本当に、それでいいのかよ...」



そう不満げに呟いた伏黒の声は

目の前で人ごみを練り歩くAには

届くことがない。

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