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「スマイルのへや、おおそうじだいさくせーん！」
「やるぞ〜！」
そう言って開かれた二階の一室。彼らの部屋同様、二つの大きなベッドとデスク、クローゼットなどのインテリアが並んだ殺風景な空間。埃を吸い込んだ二人は、こほんと咳き込んだ。
「えっと、まずはどうぐを見つけないと。ぼく、お家のそうじしたことあるから、どうぐがあったらすぐできるよ！」
「じゃあどうぐさがしきょうそうだな！」
「まっけないよ〜ん」
スタート！ という元気な声と共に子ども達は一斉に散らばった。あちらこちらの扉や引き出しが開かれる中、一階のキッチン近くを探っていた水色の近くで、大きな破砕音が鳴る。
ぱりん！
「なに？」
「どうした！？」
二人が慌てて駆け寄れば、そこには茫然とした水色と、粉々に壊れた皿だったものが数枚分。
「Nakamu、さわっちゃダメだよ」
緑色の瞳が心配と警戒を混ぜた。Nakamuはそれに少し反応したが、呼吸を乱し始めている。すぅ、すぅ。はぁ、すぅ。落ち着けようと必死に口を閉じようとするが、別の能信号に負けてしまう。
「だいじょうぶ？」
深海に似た色の瞳が揺れた。顔を覗き込むと、大粒の涙が溜まっており、彼が焦燥に呑まれていくのがわかった。
「おい、だいじょうぶだから泣くな！ とりあえずなんとかするぞ！」
「しゃー、くん……」
ぐい、と手を引いてその場を離れ、再度、掃除道具を探しに行く。Nakamuも涙を袖で拭い、しゃくり上げながら探索に加わった。ここにはない。こっちもない。あっちはさっき見たけどない。段々と焦りが募っていく。刻一刻と家主たちが帰ってくる約束の時間が近づいてきていた。
「もうかえってきちゃうよ！」
「も、もどせぇ〜！」
「とりあえずドアしめとこ……」
「これどこにあったやつ！？」
「わかんない！ そのへん！」
狼狽えながら駆け回っていた三人。誰かの足がカーペットに引っ掛かり、それに巻き込まれた机がぐらりと揺れた。
「ただいま」
玄関まで走る。この人の帰りが、こんなに恐ろしかったことは無い。家主の声と共に、更なるパニックが巻き起こるまで、あと数秒。
がしゃん！
アンバランスな三人の、初の作戦失敗談。
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
