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「じゃあ、つぎはここ！」
勢いよく開かれた扉の向こうには、小さな図書館があった。木製の本棚がいくつも並ぶそこは、鬱蒼とした森のようでさえあった。薄くひかれたカーテンから漏れ出す光は、色褪せ古びたフローリングを木漏れ日のように照らしている。
「うわ、本だ……」
「いっぱいあるね〜」
埃の被った棚を指でなぞれば、積もり積もった歳月を思わずにはいられない。森に迷い込んだ少年たちは、各々棚を見て回る。
「わ、この本めっちゃ古そう！」
「みて〜！ 『まほうとほし』だって！」
「もじがいっぱい……おれ、本よむのとくいじゃないから……」
図鑑、魔術書、物語、学術書や医学書、絵本まで、様々な分類の本たちが溢れた密林を、ぐるぐるぐるぐる。破れかけの本。ちぎれたページの隅。
探検すること数十分。水色の瞳を輝かせて、少年が一冊の本を引き抜きぱらぱらとページを進めていく。
「え、これ！」
「なに〜？」
「なんかあった？」
「うん！」
水色のよく通る高い声につられて二人もひょこりと顔を出す。彼が捲ったページには、一枚のイラスト。その本は悪魔と魔獣について書かれた図鑑だった。少年の細指がさしたのは、白い獣らしきものだ。体長は小さいが、身体に対して尾が大きい。飛び出したつぶらな目はどことなく不気味さを醸し出している。
「これ見たことあるよ！」
「ホント！？ どんなだった？」
「これくらいで……ふわふわしてた」
「へ〜！ おれも見てみたい」
なんか、また会えるような気がするんだ。と、水色が憂いと期待を混ぜたような表情で呟いた。それに応えるように、寄り添う二人は図鑑のイラストを眺める。本の中の魔獣が、ぱちりとウインクをしたような気がした。
...→←Ep.4 〇るすばんだいぱにっく！ na br sh
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
