悪魔祓いと黒い夕焼け 5 ページ36
翌朝。ちらちらと降り続ける雪。白い空と道の境目が蒙昧で、冷たい空気が肺臓を満たす。
今日は、きんときとスマイルを連れて買い出しの続きだ。残りの三人には留守番をお願いした。(なかなか食い下がらなくて説得は大変だった。)
足元に気をつけながら、ゆっくりと歩いて街へと向かう。子ども達にはいつもよりも厚着をさせて、二人とも大きなマフラーに顔を埋めている。
「まずは、昨日注文した服を受け取りに行くよ」
「はーい」
美しいシルクのシャツに、白いチュールやレースがふんだんに飾られた式典の洋服。これを着る日が来るのも久しい。店の中はビジューやスパンコールで煌めいており、小さなプラネタリウムのようになっていた。
「わ、きれい……」
「帰ったら一度、みんなで着てみようね」
「……おれの分は」
「もちろん買っていくよ。サイズが合うかわからないから、今から試着しよう」
店員と共にデザインやサイズを見ながら、選りすぐりの数枚を決めた。どれも白い生地に細かい刺繍や装飾が映えるものばかり。
「え、ほんとにこれ着るの？ ハデじゃない？」
「いいから着てみろよ、スマイル」
「えー……」
「やっぱ、変、だろ……」
渋々試着室から出てきたスマイルは、胸元に白い花の飾りとレースが着いた煌びやかな姿をしていた。少し気恥しそうにしているが、少女の如く整った彼にはよく似合っている。
「え、けっこういいじゃん」
「私も、似合ってると思うよ」
「ぃや、うれしくねぇし」
結局、彼は着せ替え人形のようにあれこれ着替えさせられ、一時間ほどでようやく決まった。(終始不服そうだったが、文句を言いつつも素直に着てくれる。)
ふんわりとした袖に小花がたくさん飾られたシャツは、肩から幅の狭いリボンが垂れており、バランスが計算されたデザインだ。他にも彼らの服にそれぞれ似合うヘアアクセサリーを選んで、祝祭衣装が全て揃った頃には、天気も良くなっていた。
「この服って何に使うの？」
「祝祭の最終日に、教会から来年がどんな年か、お話があるんだよ。それを聞くために、自分たちの身の潔白を表す白い服を着るの」
「へぇ、ちょっと楽しみかも」
そう言って、きんときは真新しい服の入った袋をキュッと持ち直す。そのとき、彼の身体がぐらりと傾いた。
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
