悪魔祓いと召使い 4 ページ15
「いくよ〜」
建物の影に身を隠したBroooockは、声を潜めてそう言う。こんな豪邸であれば、間違いなく監視用の魔道具が設置されているだろう。しかし未だに防犯装置が作動していないのは、私が改造した魔道具によるものだ。
Broooockは身を屈めたまま壁沿いに進み、角を曲がった。そこで立ち上がって走り出す。速い。真っ直ぐ突き進んでその一辺の端まで着いた。家の裏側はフェンスのほど近くに白い出窓があり、置物が並んでいる。その出窓をBroooockが四回ノックした。今までも合図としてフェンスの外から叩いていたのだろう。
コンコン、コンコン。
すると、少年が顔を出す。カラスの羽のような黒い髪に、晴天を思わせる青い瞳。一目で分かるほど質の良さそうな白いシャツに、小さな白いネクタイ。サスペンダーの紐が見える。
少年はBroooockを見て、そして私とシャークんを見る。少し驚いたような、綻ばせたような表情をしてから、窓の鍵を開けた。
「ぶるっく！ 入ってきちゃったの？」
「きんとき、おはよ〜」
「おはよう。その人たちは……」
「前言ってた、ぼくの友だちと〜たすけてくれた人！」
準備をしていた一週間の間に、Broooockは私達と彼らの橋渡しとして、今日の計画を伝えてくれていた。
「そっか、じゃあ、えっと……よろしくお願いします」
きんときと呼ばれた少年は、そう言ってぺこりと礼をした。その体はBroooockやシャークんに比べて健康的に見える。少なくとも栄養失調に近い二人とは確実に違うだろう。Broooockから聞いた話では、この子は路頭で迷っていた所を拾われ、召使いとして住まわされているらしい。戦後の混乱の中、それは珍しくもないことで、特段取り上げられることでは無い。それ自体は。問題は、主人や別の召使い達から暴行虐待の被害に遭っているらしい、ということ。
水面下に何があるかは他人の目からは分からない。
「きんときだね？ そんなに畏まらなくて大丈夫。もう一人はどこにいるの？」
「……今は、ご主人さまの部屋にいます」
少し間を置いて目線を外し、そして戻して言う。含みのある言い方だ。今、この家の中でその現場が起きているのならば、無視はできない。
「安心しなさい。私には教会という絶対権力がある。必ず助けるよ」
……利用しない手はない。教会へ告発があった、ということにする為に書類も偽造した。もちろん、これが偽造品であることは誰にも知られる訳にはいかない。この子どもたちにさえも、必ず隠すのだ。
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
