悪魔祓いと召使い 3 ページ14
一週間ほど後、Broooockの案内のもと、上流階級居住区サンティユモンにやってきた。二人にはシャツの上からファー付きのコートを羽織らせたため、出会った時よりもずっと暖かそうに見える。街は昼間だというのにも関わらず、辺りは人通りが少ない。立ち並ぶ黒い街灯から、白い光の球が絶えず生まれては消え、幻想的な様相を見せている。道の色も舗装も貧民街とはまるで違う。どこかから漂う高級そうな香水の香りが、当てつけのように感じた。
「えっと、こっちの白いおうちの、あれ？」
「……合ってるのか？」
「……たぶん？」
不安になってきた。本当にこの子に案内を任せても良かったのだろうか。
「あ！ あってた！ こっち！」
Broooockが指をさしたのは、大理石と黒レンガがマッチした建物が庭を挟んで見える、広大な敷地だった。私の身長の二倍ほどの高さがあるフェンスは黒く塗られている。いかにも金持ちの家らしい。
「ここのね、フェンスのむこうにすぐ見えるへやにいるよ」
「え、まさかこれを越える気でいるの？」
「うん！」
「よし、まかせろ！」
そう言ったシャークんがフェンスに手を触れる。フェンスの隙間に手や足を
「待った、待った！ 一人で行くつもり？」
私が慌ててストップをかけると、彼は片足はフェンスの上、もう片足は木の上に置いたまま、私達の真上から言う。
「おれがうら口のカギ開けるから、そっから来ればいいだろ？」
「あけれるの！？」
「おう！」
そう言って満面に笑みを浮かべる。いかにも子どものそれだが、言動は完全に慣れた泥棒だ。というよりも、彼の身体能力の高さには驚かされる。軽やかにフェンスを飛び越え、綺麗に着地し、フェンス越しに私に向かってピースサインを作った。
そうして彼は内側から小さな鍵を外し、裏口は私達を歓迎するかの如く、キィと鳴き声をあげながら開いたのだった。あぁ、もう私たちは犯罪者だな……
「ありがと、シャークん！ じゃあ、ぼくについてきてね」
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
