悪魔祓いと召使い 2 ページ13
シャークんもBroooockのペンダントに手を伸ばし、その煌めきを目で追う。炎が揺れるのを見るのが好きな子だ、あれも好きなんだろう。
「ぼくの、かぞく……」
「そう、その家族の手がかりにもなるだろうし、大事にするんだよ」
彼はまた寂しそうな顔をしながらこくんと頷いた。それから彼は、私の顔色を伺うようにちらりとこちらに目をやったり、目線を外したりを繰り返す。シャークんの方を見て、首を振ったり、逆にシャークんは見守るように目で何かを訴えている。何度かしている内に意を決したのか、私にこう言った。
「あの……ぼく、その、たすけてほしい友だちがいるんだけど」
「私に？ その子達も君と同じように……」
「ううん、ちがうちがう！ ただ、えっと……キョウカイには、コジインがあるんでしょ？」
恐る恐るそう言うBroooockに目線を合わせて、私は頷く。そうすると、彼はまた何か迷うような素振りを見せてから口を開いた。
「その子たち、いえのおとなにたたかれたり、けられたりしてるから……たすけてあげれないかなって……」
Broooockが言うには、上流階級居住区に盗みに入った際に(なんて勇敢なんだ)知り合った少年が、虐待を受けているのだそうだ。その家の召使いとして働いている二人の内、一人が暴力の標的らしい。
……正直、私は悪魔と対峙するのが専門であって、子どもを拾うのは管轄外なのだが……教会本部にこの仕事を回すのは気が乗らない。個人的な慈善活動になりかねないが、それはやりくりしよう。何より、頼ってくれたことが嬉しかった。
「準備を整えたら行こう。君に案内を任せてもいい？」
Broooockはぱあ、と笑顔を見せると、本当に！？ と言って椅子から立ち上がる。子供には少し高すぎる椅子で、降りる瞬間にがたんと大きな音がした。
「おれも行きたい！」
と、今度はシャークんが勢いよく手を挙げて言う。留守番は可哀想だが、しかし、慈善活動とは言え貴族の家から子どもを攫おうとしているのは私たちの方だ。教会の後ろ盾はあるが、何かあったら……
いや、この子の説得が難しいことはもう分かっている。仕方がない。
「分かった、分かったよ。でも、変なことをしちゃだめだからね」
「そんなことしねぇよ〜！」
不安はあるが、子どものエンジンは止められない。だからこそ、私が全力で守ろう。悪魔からも、それ以外の悪意からも。私が純粋である証明は、出来ないけれど。
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
