悪魔祓いと召使い 1 ページ12
翌日の朝日が昇る頃。赤煉瓦の家の天窓に嵌め込まれた、ステンドグラスの七色の模様が屋根裏部屋に反射した。リビングの暖炉は消えており、窓からは陽光が。久しぶりに暖かい日だった。
昨日は少年から何か聞き出せる雰囲気ではなく、そのまま食事や風呂を淡々と済ませて眠ってしまっていた。眠りが深かったようで、少年達がやっと起きてきたのは昼の十一時を回る頃だった。
「おはよう、ちゃんと眠れた？」
ぼんやりとした目で階段を降りてくる少年二人に私がそう問いかけると、二人は顔を見合わせて笑った。
「もう大丈夫だよな、ぶるっく」
「もうだいじょうぶだよ、シャークん」
知らない間に仲良くなっていたようで安心した。境遇も近かっただろうし、打ち解けやすかったのかもしれない。二人とも真白いリネンのシャツにお揃いのズボンと靴を履いている。家にあったものは全て女性物だったため、首元からは白いリボンが垂れ、裾にはフリル、ボタンは左前。それでもこうしていれば立派に見える。が、彼らの服から覗く手足の細さがそれを否定した。
「じゃあ、君の名前を聞いてもいい？」
「うん、いいよ。ぼく、ぶるーく。こうやってかくんだよ」
彼はそう言いながらテーブルに座って、拙い字で「Broooock」と紙に書いた。両親とは幼い頃に戦争の影響下で離れ離れになったらしい。東洋出身の母親の影響で、異国語を少しだけ話せるのだそうだ。
「あのね、これにかいてあったんだ。ぼくのなまえ」
Broooockの手元を見ると、彼はペンダントを握っていた。赤いガラスに青いシラーと呼ばれる炎のような光が閉じ込められたアンティーク品。ドラゴンズブレスと呼ばれるガラスで、彼の瞳の色によく似ている。確か、数百年前に作られたとか……見つめていると、ガラスの中にぼぅっと炎が灯ったような気すらする。
……あぁ！
「ここのうらにね、ほら」
彼はそのオーバルペンダントを裏返し、細かい傷がいくつか入った台座を私に見せた。確かにそこに、Broooockと小さく刻まれている。
「……君はこれに守られていたんだね。このガラス、魔力が込められてるよ」
「え？」
「なんだそれ？」
パンに夢中だったシャークんもこちらを向く。……またぼろぼろ零しながら。
「魔除けのおまじないみたいなもので、悪魔の干渉……えっと、悪魔が君に悪さをするのを防いでいるんだ。家族の人が作ったお守りかもね」
「「へ〜！」」
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葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。世界観は特にこだわっておりますので、そう言って頂き本当に嬉しいです。明日以降もたくさん楽しんでいって下さい。 (2023年3月28日 22時) (
レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - まずは、4章までの更新お疲れ様です。世界観の作り込みが本当に細かく、一話毎に感想を伝えられないのが残念です(笑)お体にお気をつけてください！更新楽しみにしてます。 (2023年3月28日 20時) (レス) @page42 id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - 名無しさん» 名無し様、コメントありがとうございます。嬉しいお言葉、大変励みになります。実は雪の降る頃は非公開でしたので、まだ読めなかったんです……季節外れですが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張ります！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 174f99a722 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても読みやすい文章で、心情の表現や描写も素敵です！雪の降る頃に見つけられなかったのが悔やまれます(笑)陰ながら応援しています。更新頑張ってください！ (2023年3月18日 19時) (レス) id: 8b083f4a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葡萄 | 作成日時：2021年5月13日 17時
