俺はヘタレではない、決して。【古橋康次郎】

十五、山 ページ23

「おお〜やっとるやっとる」

げっ。

聞くだけで不快になる声と言葉使い。

ほっせぇ目をさらに細くして、悪巧みをしているように口角を上げる笑い方が頭に浮かぶ。

なんでいるんだよ····

「久しぶりやな、花宮」

今吉(妖怪)！

今吉が会いに来るような事(イタズラ)した訳でもねぇし·····はっ！もしや···


今「古橋君おるか？」


康次郎とAの恋(古橋の一方通行)を邪魔しに来たのか···？！

古「古橋は俺だが？」

呼ばれたのが聞こえたのか、古橋は手を上げて今吉に近づいた。

その後ろでは、一哉や床で笑い転げていた。

笑う要素あったか？

今「君が"わしの"可愛い可愛いAにアタックしとるっちゅう古橋君か？」

いつからAはお前のになったんだよ。

古「Aにアタックしているのは事実だが、お前のAではないぞ。」

そうだな。

今「なに言うとんねん。中学ん時一番Aを可愛がったんはわしやぞ。」

俺の方が苦労したんだが。

今「それに古橋君、Aを恋人にするのは、」

今「わしっちゅう大きい山があるのを忘れたらあかんで？」

そう言って目を開けて、今吉は口角を上げた。

コイツっ、中学の時に比べて悪人面に磨きがかかってやがるっ！

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