E G O 【levi】 (ページ39)

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頬に飛び散った血を拭い、私はトリガーをケースへしまう。
事を終えたのと同時にこちらへ寄ってくる馬の手綱に手をかけた。
ふと、頭上から声をかけられる。

「相変わらず、鮮やかね。」
「へへへ、ありがとうございます。」

馬に跨りながら、私は班員のシスにお礼を言った。

そしてすぐに前方から指示が出される。

「もうすぐで待機場所だ！気を緩めるなよ！」
「「はい！」」

ネス班長の言葉に、シスとの返事が揃った。
馬を走らせながら細心の注意を払う。
この壁外調査も、一年で目標地点がかなり遠くなったと感じていた。

……

「ティル」

名前を呼ばれ、私は顔を上げた。
その声に呼ばれることに、この一年ですっかり慣れてしまっていた。
そして私も、彼女の名前を呼び返す。

「ペトラさん。」
「えへへ、隣いい？」
「もちろん。」

私の言葉を合図に隣の席へ腰をかける。

「今回も、ティルが無事でよかった。」
「ペトラさんも。」

壁外調査後には必ずと言っていいほど言い合うこの台詞。
いつだって、一人の犠牲者もなしにそれが終わった事はないのだ。

今回生き残ったからと言って、次回も生き残れる保障はどこにもない。

「そういえば、巨人の生態調査、再開する方針らしいですね。」
「うん。前拾ったイルゼ・ラングナーの手帳からかなり新しい情報がはいったからね。」

その内容は既にハンジから耳がタコになるほど聞かされていた。

「人間を祀る奇行種でしたっけ？」
「うん。あんなの、初めて見た。」
「その巨人はどうなったんですか？」

その奇行種の話は散々聞かされたが、肝心のそいつが結局どうなったのかまでは聞かされていなかった。生け捕りにしたという報告もない。

私の質問に、ペトラさんは何故か口を濁した。