E G O 【levi】 (ページ31)

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3二度目の過ちページ31

コツコツと、自分の足音が響く。
靴の鳴る音を聞きながら、私は幹部の個室がある棟を早足で歩いていた。

向かう先はハンジ分隊長の個部屋である。
なんでも、３日間風呂に入っていないその人物を連れ出して風呂に入れてくれと、モブリットさんとか言う人から頼まれた先輩兵士に、その役目を擦りつけられたのだ。
モブリットさんも、擦りつけてきた兵士も知らない人だったが、一応先輩命令だった為、仕方なしに私はハンジの部屋へ向かっていた。
幸い、そのハンジとは面識がある。
取り敢えずお風呂に入って欲しい事だけを伝えて、さっさと戻ろう。と、そう思っていた。

すると、廊下の先で壁にもたれかかっている人影が見えた。
近づくにつれてはっきりしてくるその人物は、兵舎では浮いてしまって仕方ないスーツ姿だった。
しっかりと着こなされたスーツに、髪の毛は後ろで固められている。
そんな格好の人物が兵舎に居ることに違和感を抱く。

しばらくすると私の足音に気がついたそいつと目がばっちり合った。少し気まずそうな表情になったのは気のせいだろうか。無視するのもどうかと思い、私は声をかけた。

「こんにちは。」
「……おう。」

その返事に、私は眉間にしわを寄せた。
なんだよ、“おう”って、失礼な。

「“こんにちは”って言われたら、“こんにちは”って返すものだよ？」
「……は？」

年上らしく、注意をしてやる。
挨拶もまともに出来ねえのか、貴族の坊ちゃんめ。と、そんな事を考えていた。
すると、そいつは何故か口を開けて固まってしまった。まさか兵士なんかに注意されるとは思っていなかったのだろうか。
これだから貴族は。

「てゆーか君、なんでこんなところに居るの？迷子？」
「おい、ティル……。」
「え、どうして俺の名前……。」

自分の名前が呼ばれた事を不思議に思い、問いかけた時、聞き慣れた声が、よく聞く名前を呼んだ。

「リヴァイ。」

その低い声の方へ視線を向ける。
その人物は珍しくスーツを着ているエルヴィン団長だった。
“リヴァイ”と聞こえたが、それよりも私は見慣れない団長のスーツ姿に気を取られていた。

「団長、お疲れ様です。」
「ああ。」

敬礼する私を頷きながらエルヴィンは片手で直させた。

「どうしたんですか？そんなにめかしこんで。」
「今日は接待でね、悪いリヴァイ、待たせた。」
「……へ？」

もう一度聞こえたその名前に、私は間抜けな声を上げてしまった。
呼ばれていたのは、先ほど私が挨拶を注意した少年だった。