E G O 【levi】 (ページ29)

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1会話ページ29

「隣、いいかな？」
「え？」

休憩中、地面に腰を下ろしていたら、頭上から降ってきた声に、私は顔を上げた。
そこには見たことない女性の兵士が私の顔色を伺うように立っていた。
同期ではないようだから、おそらく先輩だろうと、瞬時に判断する。

「あ、はい。どうぞ。」
「ありがとう。」

若干戸惑いつつも私が頷いて答えると、微笑んでその人は隣に座った。
慣れないこの空気に、私は思わず固まる。
少し居心地が悪いと思った。

「ティル、だよね。私はペトラ・ラル。よろしくね。」
「よろしくお願いします……。」

唐突な自己紹介に、相変わらず私は固い返事しか出来ない。
正直、自分は少し人見知りをする方ではある。慣れれば問題はないのだが。
しかし、そんな私に構わず、優しい口調で彼女は話し続けた。

「聞いたよ。ティル、もう討伐補佐数1体なんだってね。」
「はい、まあ。」
「凄いね、初回でもう巨人と闘うなんて。ただでさえ行って帰ってくるだけでも大変なのに。本当に凄いって、兵団の中で結構話題になってるよ？」
「あ、ありがとうございます。」

初耳だった。
彼女の言葉がお世話なのか、もしくは本当なのか、判別出来そうもなかったが、たとえお世辞だろうと先輩から褒められれば素直に嬉しい。
我ながら単純だと思うが、この時点で少し警戒心が解けつつあった。

私は素直にお礼を言った。
すると、視界に誰かのブーツが入りこんできた。
それは私の前で立ち止まると、声を掛けてきた。

「おい、調子に乗るなよ新兵。」
「は？」

聞き慣れないその声に視線を向ける。
隣のペトラさんが顔を歪めて、おそらくその人物の名前を呟いた。

「……オルオ。」

これまた見慣れない兵士だった。今度は男だ。かなり老けて見える。
すると、ペトラさんは何故か心底嫌そうにその人物の紹介を私にし始めた。

「こいつはオルオ、こんな見た目だけどまだ一応10代なんだよ笑えるよね。」
「おいペトラ、余計なこと言うんじゃねえ。」

その言葉に、失礼ながら私は思ったことを素直に言葉にしてしまった。

「10代！？俺、今パッと見、絶対熟年の兵士かと思いました。三十路くらいの。」
「あ？てめなんだと！」
「あはははっ！ティル、正直すぎだよ！」
「ペトラ！」

オルオさんの怒り具合から、もしかしたら老け顔の事は少しコンプレックスなのかもしれないと、私は自分の心無い言葉を反省した。