E G O 【levi】 (ページ26)

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番外編認識した日1 ページ26

「流石、立体起動の腕は並みじゃないな。」

訓練中の休憩時間に、班長のディータ・ネスから話しかけられた。

「ありがとうございます。」
「お前と一緒に入ってきた奴もなかなからしい。」
「ああ、ロルフですか。」
「そうそう、ロルフ・カナリス。」

兵団に入ってそろそろ1週間が経つ。
ロルフのことが軽く隊の中で噂になっているのは私も知っていた。

正直、奴の腕はかなりのものだと思っている。
成績から言っているわけではない。
ロルフは真面目で、加えて人一倍努力家な事を、私は知っていた。
訓練兵時代、一番努力していたのはロルフだと断言できる。それが結果として出たまでに過ぎないのだ。

「正直心強いよ。お前らは今後かなりの戦力になっていくと思う。」
「ありがとうございます。」

今回が含まれていない事はわかる。
壁外調査は、行って帰って初めて一人前だと言い聞かされている。それだけ、初回の出陣で命を落とす者が多いのだろう。
少しずつ隊の雰囲気が変わってきていることも気づいていた。

「そういや俺今日、リヴァイ兵長と喋った。」

それは食事中唐突にロルフに言われた言葉だった。
食い付くほどの話題ではないが、リヴァイという人物を耳にしたことがないわけではない。
少しだけ興味が湧いた。

「リヴァイ兵長って実在したんだ。」
「実在はするだろ。たまに見るし。」
「そーなの？」

私の質問に、ロルフは驚いてこちらを見た。

「え、お前見たことないの？」

その顔は心底驚いているようだった。
その質問に、私は少し機嫌を悪くして答える。

「だって俺その人の見た目知らないし。」
「調査兵団であの人知らない奴とかいるんだ。」
「ここにいるだろ。」

というか、こっちからすれば知っているのが当たり前みたいなのが驚きなんだが。

「お前はもっと周りの奴に興味を持った方がいいと思うぜ。」

心配するようにロルフは言った。
それが私は癪だった。

「は？俺の勝手だろ。」
「だって、お前兵団内で友達俺しかいなくね？」
「……ネスさん。」
「ネスさんはお前の上司であって友達ではない。」

「で、なにを喋ったんだよ。リヴァイ兵長と。」

逸れた話題を戻そうと、私はロルフに問いかけた。

「普通に。訓練中にあの人が近く通ったから、“お疲れ様です”って言ったら“ああ”って。」
「それ会話じゃなくてただの挨拶だろ。」
「初めてあの人の声聞いたわー。」
「おい？聞け？」

その程度の事でも浮かれている様子からして、ロルフもリヴァイという人物に対して憧れのようなものを抱いているのだろうか。