E G O 【levi】 (ページ2)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:3,196 hit

1首席の彼奴ページ2

「俺は普通に調査兵団いくけど。」
「は？」

私の言葉に、隣で食事をしていた同期が声を上げた。

3年間の厳しい訓練を耐え抜いた私達は、明日ついに、所属兵科が決まる。
その所属する兵団によって、もう会わない奴らもいるかもしれない。
今日の食堂は、今までの長かった訓練が終わった喜びを分かち合う奴らや、別れを惜しむ奴らで、いつもよりも騒がしかった。

そんな中、時間が止まったように、私の言葉で、動きが停止してしまった目の前の男。
馬鹿みたいに開いたその口から、さっきかじったパンが見えている。私は「汚えよ」と言ってそいつの顎を無理やり閉じた。

「マジで言ってる？」
「別に嘘つかねえだろ。」
「え、……お前、正気か？」
「喧嘩売ってる？」

笑顔で言い返す私に、そいつはまだ、信じられないといった表情でこちらを見ている。
まさかそこまで驚かれるとは思っていなかったから、正直その視線は居心地が悪い。

「だって、お前、10位以内はいってんじゃん。」

そいつの言葉に、私はドヤ顔で答えた。

「まあな。」
「憲兵行くだろ、普通は。」
「普通に調査兵団いくって、さっき言っただろーが。」

お前の普通と私の普通を同じにするなよ。
そう思いながらパンを頬張る。

「……俺は馬鹿に負けたんか。」

唖然とした顔で、そいつが呟いた。
ショックを受けているのはいいが、何気に人を馬鹿呼ばわりしていることに気づいているのかこいつは。

「お前何位だっけ？」

“馬鹿”という言葉には触れず、そいつへ問いかけた。

「6位だよ。」
「おお、いい方じゃん。2位の俺には負けるが。」
「必死に訓練してるから、てっきりお前も憲兵行くもんだと。」

「そりゃ10位以内にも入れないで調査兵団なんて行けねえよ。死にたくねえし。」
「マジかよ。」

だからマジだって。

「……俺、お前には死んでほしくねえんだけどな」
「大丈夫、死なねえから。」
「お前、言葉遣いは悪いけど、いい奴だったよ。今までありがとな。」
「死なねえって！つか言葉遣いはてめえと大して変わんねえだろ。」
「俺は男だからいいんだよ。」
「でたよ。すぐ性別出してくる奴。」

そんな会話をしていた時、ふと、少し遠くで他の奴と食事をしているあいつと目があった。
すぐに私から目をそらす。

心臓が高鳴る左胸を、隠すように、私は不自然に腕を組んだ。