幼なじみは“危険”です７ (ページ13)

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１２８話ページ13

南ちゃんのもとに駆け寄ると少し驚いたように目を見開いた南ちゃんは、

南「恭介と来てたんでしょ？」

「うん」

そう尋ねてきたけど、その声は裏返っていた。

そっと南ちゃんの手をとると、微かに震えている。

そりゃ、怖かったよね。

「大丈夫だよ、恭介が何とかしてくれる」

南「……うん」

いつもより弱々しい南ちゃんの声音に、南ちゃんもいろいろ辛い事を経験して来たのだと知る。

私はストーカー被害に遭った事はない。

だけど、以前のストーカーがまた現れるなんて、経験のない私でも想像するだけで怖い。

「南ちゃんは、大河と来たの？」

南「うん。大河が丁度、屋台に並ぶって言うから、私ここで待ってるって言って……」

「そしたら、あの人が来たんだ」

コクリと力なく頷かれて、ギュッと震える手を握ると、弱々しいながらも確かに握り返された。

私にも辛い事があって、その時に私を支えていたのは琉斐の存在だったように思う。

痛みを理解して、隣にいてくれる存在に助けられた。

南ちゃんにそういう存在はいるんだろうか？

私がそういう存在になることは出来ないんだろうか？

と。グイッ、と強い力が南ちゃんと手を繋いでいる方の右肩にかかった。

同じように私と手を繋いでいる方の左肩に力をかけられた南ちゃん。

私たちは、同時にバランスを崩す。

何、と顔を上げて。声にならない悲鳴が胸の中に木霊した。

南「……あ、」

言葉にならない震えた声を出した南ちゃんの顔は青ざめている。

？「そんなに怖がらないでよ」

荒い息で笑う二十代のその男は、恭介が追いかけて行った――――南ちゃんのストーカー。

男「また会えたんだから、さ」

ニタリ、笑った男に体は怖さで支配される。

耳にけたたましい爆発音が飛び込んできて、照らされた地面。

空に上がった花火に、周りの人も気をとられてしまい、助けてもらえそうにも無い。

どうしようかと必死に頭を回転させた私は、頭にとめていたピンを左手で外し。

男の腕に突き刺した。

細く尖っているピンは思った以上に痛みを与えたのか、男は私たちから手を離した。

「南ちゃん早く！」

南ちゃんの手を握ったまま、人混みにまぎれるように走る。