検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:12,177 hit

kiss 34 ページ10

「…大丈夫か」



ぐったりとしたまま動けない私を、彼が心配そうに覗きこんだ。

やり過ぎた自覚はあるらしい。



「つい……手加減できなかった」


……え?



思わぬカミングアウトに少し背筋がゾックっとした。


……今までは手加減してたってことか。




確かに、体のだるさは今までの比じゃなかった。

指一本動かすのもわずらわしい。



「…歳、いくつ」


彼の腕に包まれたまま、そう尋ねた。


今のところ、名前と音大生ってことしか知らない。



「…21」


「え…。同い年…?」


「あーっ。先週誕生日来たから22。1つ上」



1つ年上だったんだ。

意外なのかもよくわからない。

年齢とか具体的に考えたことなんてなかった。


なんだかフワフワした存在だった「シロ」がはっきりした形になっていく、そんな気がした。



「今度、お店行きたい。実家、カフェなんでしょ」


「……なんで知って」




続く彼の言葉には、もう驚かなかった。


本来は驚くべきなんだろうけど。




なんかもう、色々知られ過ぎてて驚けない……。



でも。


ホントになんで、話してもいないことを知っているんだ。



考えてもストーカー意外の候補が浮かばない…。





困惑する私を見て、彼はバツが悪そうに頭を掻いた。




「高校の同級生に会いに学園祭に行って、その出店で見かけた。
それで、お前の実家がカフェだからメニューも本格的だって聞いたの」


「……それだけ?」

「……それだけだよ」





悪いか。そう言って、私の頭を自分の胸に押し付けた。


これじゃあ顔が見えない。

どんな顔をしてるのか、見たかったのに。




「で、その後連れて行かれた合コンでお前を見つけて。
チャンス逃したくなかったから……」




語尾が小さくなっていくのは、あの日の送り狼を思い出しているからだろうか。


やっぱり顔が見てみたくて頭を動かそうとしたが、更に強い力で押さえられて挫折した。

kiss 35→←kiss 33


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たーに(プロフ) - 嵐ω`*←さん» ふーって言うのは 妹がふざけてたら投稿しちゃったものです(°□°;)本当ごめんなさいっっ!! (2013年7月15日 8時) (携帯から) (レス) id: 03ccc44623 (このIDを非表示/違反報告)
茅蜩(プロフ) - これからも応援してます。 (2013年7月15日 0時) (レス) id: 4e4316dc68 (このIDを非表示/違反報告)
嵐ω`*← - たーにさん『ふー』て何ですか!?((°□°))  小説面白かったです♪♪これからも楽しみにしてますヨ((妖笑(●´`●)ノシ (2013年7月14日 19時) (レス) id: b60242dff3 (このIDを非表示/違反報告)
さわここ(プロフ) - たーにさん» ねー!私もそう思います! (2013年7月14日 18時) (レス) id: e03c20c4fa (このIDを非表示/違反報告)
たーに(プロフ) - 嵐ω`*←さん» ふー (2013年7月14日 16時) (携帯から) (レス) id: 03ccc44623 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:びびあん | 作成日時:2013年7月8日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。