06 ページ24
円堂たちは力なくうなだれた。神崎の所在は分からないままだが、無事であることを祈るしかない。力になれなくてごめんねと謝る大家に、円堂がとんでもないですと頭を下げ大家に礼を述べた。
そんな中で、しばらく俯いていた鬼道が何かに気付いた様子で、まさか、と小さい声で呟いた。鬼道は顔を上げると、大家に恐々と問いを投げかけた。
「……つい最近、此処に、誰か見知らぬ人が来ませんでしたか」
鬼道の問いの意図に気付いた豪炎寺が目を鋭くさせた。悪い予感だった――出来れば当たって欲しくない。
だが、当たるなという願いも虚しく、大家はすぐにそれが思い当たったようだった。
「おや。あのおじさんたちと知り合いかい？」
「…………、誰か来たんですね」
「ああ、実は丁度二日くらい前に見知らぬ男性たちが訪ねてきてね。あの子を探していたようだった」
予感は的中したようだ。自分や土門のことを許してくれた神崎の柔らかな微笑みが脳裏に浮かび上がる。罪悪感が責め上がってくるのを理性で律して、鬼道が青い顔で話の続きを促す。
「…………、その時のことを、詳しく教えてくれませんか」
「そうだねぇ……鬼気迫るような感じだったよ。三人のガタイの良い男性で、強く責め立てられてね……勝手にあの子の部屋に押し入って色々探し回るしで散々だった。でも、僕も居場所を知らないし何もないってこと分かるとすぐに出て行ったよ、まったく……」
相当無理矢理だったらしい。説明しながら、大家は大きく顔を顰めた。男性たちは一様にこの季節に似つかわしくな厚手のコートを羽織り、ゴーグルをつけて素顔が隠していたのだという。そのなんともきな臭い男性たちを思い浮かべ、鬼道と豪炎寺はさらに顔色を悪くした。三人は話についていけず、代表して風丸が鬼道を小突いて説明を促した。
「鬼道、どういうことだ？」
「…………彼奴は……影山に目をつけられていたんだ。俺と土門は影山に指示を受けて彼奴の情報を収集させられていた。色々な情報を――そう、もちろんこの家の住所も」
「、ッおい、それって――」
「彼奴は……逃げたんだ。居場所が割れて、此処にいられなくなったんだ」
「彼奴が逃げ出したのは――――俺の所為かもしれない」
――――――――――――
ご評価いただきありがとうございます。コメントもとても嬉しいです。本当に励みになっています。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 940人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩夏(プロフ) - Aoiさん» 大変かと思いますが応援しています！ (2022年9月11日 10時) (
レス) @page24 id: 67c757144e (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - 彩夏さん» 彩夏さま コメントありがとうございます。とても嬉しいです。本当にいよいよというところで、私も楽しみですしわくわくしています……。お待ちいただきありがとうございます。どうぞお楽しみにお待ちください。 (2022年9月11日 0時) (レス) id: f51011eb5a (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - いよいよですね！展開が楽しみです！ (2022年9月10日 23時) (レス) id: 67c757144e (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - ヒマリさん» ヒマリさま 長い間ご覧いただき、そして応援してくださり、本当にありがとうございます。拙い文章ですがお楽しみいただけたら幸いです。随時更新していきますので、どうぞお楽しみにお待ちくださいませ。 (2022年7月15日 20時) (レス) id: 0783a9abb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリ(プロフ) - 続編おめでとうございます。ずっと前から応援していた作品なのでとても嬉しいです。これからゆっくり読み直しにいこうと思います。これからも応援していますので、作者様のペースで更新して頂けますと幸いです。 (2022年7月15日 20時) (レス) id: ba87716a36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aoi | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aika398/
作成日時：2022年7月3日 2時
