第234話 ページ39
言いたいことの一個目は言えた。天馬が起きて、普通の病室に移ったら言おうと思っていたこと。
全部終わって士門から伝えられた先読みで知った未来。士門の脚を斬った理由が私が考えていたこととあっていた時、スゴく嫌だった。なんで、こういうのとか勘がいいのか、そっちの思考に行ってしまうのか......。
前世の記憶があって、人生二回目だからなの？！
転生特典！？
とか密かに思ったりしていた。
どれも当たっていて、外れてそうで答えは分からないから途中から考えるのはやめた。今回久しぶりに思ってしまったよ。
＿＿＿＿＿陰陽師は死ぬ存在だ。
『！』
＿＿＿＿＿私は後悔する前に旦那に告ったよ。
何で今思い出したんだろう。
界瀬さんに何気なく聞いた物心つく時には既になくなっていた父親の事。まだ、天馬の事を好きとかそんな気持ちがなかった時に聞いたんだ。
＿＿＿＿＿彼方も″何に″怖がっているのか知らないが
＿＿＿＿＿？
＿＿＿＿＿時間は限りある、怖がってないで一歩進め
「トリ丸が待ってんじゃねぇか？」
『あ、うん.....士門待たせちゃってるや』
帰らないと.....と立ち上がりそうになって止まった。本当にこのまま帰るの？後悔しない？だから、界瀬さんとの会話を思い出したんじゃないの？言わないとじゃないの？
立とうとした体勢から、もう一度天馬の方を向いた。天馬は座り直した(ちょっとの差だけど)私を不思議に見た。何回か心の中で深呼吸してから天馬を見た。
『私ね、天馬に言わないといけない事があるんだ』
「なんだ？」
ずっと昔からあの日から思っていた事。
大切で特別で......大好きな人。伝えないと後悔しそうで、ずっと前から消えてほしくない人。
好きだよって気持ちを込めて、貴方が好きよって微笑みながらたった二文字の「好き」を.....言葉を.....声に出した。
『......私、天馬が好きだよ』
「────！」
以外にも口に出してしまえば、言いたい事が出てきた。
『ずっと前から好き。記憶がなくても私、好きだったんだ.....。大切な友達じゃないんだ.....大切で特別でっ......大好きな人なの.....』
「........」
ああ、言っちゃった。
ずっと心の中に留めといて、言わなかった言葉。きっと言ってしまったら友達じゃなくなっちゃっうからずっと言えなかった言葉。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年10月1日 18時
